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2人の文芸部  作者: 赤坂剣
9/10

page6:食い違い

先に失礼します。あんの作品についてはあまり詳しく触れないでください。

 文芸部にて


「あん。とりあえず読んできて直したほうがよさそうなところをピックアップしてきたよ」


 というとあんもなにかを出しながら話し始めた。


「こちらも、ビラ配り用の大本と募集掲示用のものを作りました」


 と言ってくれた。正直部員勧誘のほうは僕がやるとろくに終わらないと思うので、こうも早く完成させてくれるととてもうれしい。ビラ配り用の大本を使ってコピーをして配れば後は大丈夫だと思うので、あんの小説のほうを先にやっておこう。


「ありがとう。というか、一晩で終わらせてくれたんだね。とても助かるよ」


 と、正直に言うと、あんは恥ずかしそうに返事をしてくれた。


「いえ、政敬くんに小説のアドバイスをもらえるのなら、このくらいはやらないといけないと思いまして…」


 僕はあんの意外な表情と返答にびっくりしてあんの顔を見れなかった。そんなことしている場合ではないと思い込ませて、あんに小説のアドバイスをする。


「そ、そっか…。それより、小説についてなんだけどいいかな?」


 と聞いてみると、あんは真面目な顔に戻って、顔を縦に振った。だから、アドバイスとしてつけてきた付箋の部分を最初のほうから処理していくことにした。


「えっとな。作品の流れとしてはいいんだけど、書き方にちょっと固いところがあるから、そこを直していけばいいんだけど、特にヒロインのセリフの『私なんかで本当によろしかったんですか?』ってとこなんだけど、キャラの言い回し的に『私で本当にいいんですか?』のほうが、伝わりやすくかわいらしく表現できるから直してみるといいよ」


 と一つ目のアドバイスをすると、厳しそうな顔であんは反論してきた。


「政敬くんの意見はうれしいのですが、そのキャラはどうしても堅苦しい形にしたいんですよ」


 と訴えかけるように、僕に言ってきた。まぁ個人の考えだからあまり強制はさせる気はないんだけど、一応注意程度として言ってみることにする。


「そうなんだ。ただ、読む側としたら、堅苦しすぎると読みづらかったり印象とらえにくかったり人間性が感じられなかったりで、本当に物好きな人くらいしか読まないよ?」


 そういうと、あんは少し泣きながら反論してきた。


「そ、そうですけど…。わ、私はただ私の世界を政敬くんに読んでもらいたかっただけなのよ!政敬くんの馬鹿ぁ!!」


 といって荷物思って部室から出て行ってしまった。僕はその場で一時的に時が止まったかのように、硬直してしまった。そして、ふと我に振り返ってあんを追いかけた。

 僕は足が速いわけではないので追いつけるか心配だ。しかも、あんはどこに行ったのか検討がつかない。校内なのか校外なのかによっては探す場所が変わるが、あんは学校では教室もしくは部室くらいしか来ないと思う。なぜなら、荷物を持ったうえであんの逃げ場所はそこしかないと考えられるからだ。

 教室はこの時間は締まっているので必然的に校外と考えられる。校外なら、近場の公園か駅に行って家に帰る、の二択に絞るのが妥当だろう。とりあえず僕の知る限りの近場の公園を探してみることにする。


「はぁ…はぁ…。あれから30分。4つあるうちの2つを回ったけどいなかった。時間は夕方の5時を回ったな。そろそろ見つけないとあんは、電車で家に帰るだろうな…」


 そう思って、ならイチかバチかで遠いほうの公園に行ってみることにする。そして、僕はこの探している時間の間にいろいろ考えた。あんがどうしてあの反応をしたのか、どうしてそこまでこだわるのか、そして、なぜ泣いてしまったのか。

 すべての原因は僕にあると考えた。あんは、僕にあんが考えている世界を見てほしくて小説を書いた。あんは僕に対してどういう気持ちかを小説に込めたということも、勘違いじゃなければ分かった。読んだときはわからなかったけど、よく振り返ってみるとあの話はあんの理想が描かれているというのがわかった。

 そうこう考えているうちに、公園についた。そこにはブランコに座っているあんの姿が見えた。僕はとっさにその場から全力であんの元まで行く。

 

 そして僕は…

由奈の作品についてはこの作品では深く触れませんが、簡単にいうとこの今読んでいる作品がその通りです。一応由奈の作品は途中までの状態で読んだということなのでよろしくお願いします。次の話をお楽しみしていてください。

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