page5:由奈の作品
部室にて
「あん。とりあえず、この時間のうちにかけそうな所まで書いてみて? 自分も書いてるから何か分からないことがあったら言ってくれれば、教えれる範囲で教えるよ」
「分かりました。政敬くん」
只今、あんが小説を書き始めたところだ。とりあえず、自由に書かせてみてその話をどうするかを考えたほうが手っ取り早いと思う。自分も小説の続きを書いて待つだけなので、なんら難しいことはないと思う。
そう思っていると、ドアが急に開いた。
ガラガラガラ
「こんにちは。森久保くん。きちんと活動してるかい? そのうち部員勧誘でもしてもらわないといけなくなるから、今日言いに来たよ」
なんと珍しく、顧問の滝沢浩志先生が来てくれた。本当に珍しいので、僕はビックリしてしまう。
「滝沢先生こんにちは。今、安藤さんと僕は小説を書いているところです。安藤さんは今日から書き始めたのでとりあえず、自由に書かせてみてます。文化祭などでの展示などもあるだろうから、今のうちから書いているところでした」
と何となく先生の前ではあだ名などで呼びあったりする訳にはいかないので、昔の呼び方で読んでしまう。滝沢先生にそう言うと滝沢先生はにこやかな顔でこう言った。
「それはいいことですね。なら、安藤さんが書いている間に森久保くんは部員勧誘をしていたらどうですか? まだ4月の下旬。どこの部活に入るか悩んでいる生徒がいるかもしれません。やるだけやってみて駄目ならまた来年にすればいいので、とりあえず部員勧誘をしてください」
と、厳しい顔をしながら滝沢先生は言ってきた。まぁ、事実そうなので僕は先生の言う通り部員勧誘をしようと思う。だが、どのようなことをしようとすごく悩んでしまう。そんなことを考えていると、小説を書きながらこう言った。
「ビラ配り、勧誘の掲示でもしたらどうですか。そのあたりが妥当だと思いますよ。森久保先輩」
とアドバイスをくれた。幸も願ってなかったのでとても助かった。これを恩に小説に関しては僕がしっかりアドバイスをしないといけないと思う。
「あん、ありがとう。そうするよ」
つい口が滑って、あんと呼んでしまった。色々とめんどくさいことになりそうだが、僕は諦めた。なぜなら、滝沢先生はやけにいじってくるからだ。
「森久保くん。今、安藤さんのことをあんと呼んだんですか? いつの間に仲良くなったのですか、ビックリです。先生としては部員同士が仲良くなるのは良いですが、あまり危ないことまでしないようにしてくださいね?」
そう、未来のことを注意されたが、そんなことは無いと僕は思っている。僕とあんの関係は友達もしくは親友止まりだろう。まぁ、そんなことはどうでもいいか。部員勧誘をしなくては。
「あん。部員勧誘に使う道具とか取ってくるから、少し席を外す」
「わかりました」
とは言ったものの。紙とマッキーなどをどこから借りてこようか...。とりあえず、職員室に言って聞いてみよう。
ガラガラガラ
「失礼します。2年C組森久保政敬です。画用紙とマッキーを借りに来たのですが、ありませんか?」
近くにいた先生が答えてくれた。
「あぁ、それだったら奥の印刷室に行ってくれや。あそこにだったらあるだろうからそこの先生に聞いてみてくれ」
と教えてくれたのでお礼をしてそこに行く。そうするとそこで、マッキーと画用紙を貰えたので、部室に戻った。部室に戻った頃には先生はおらず、あんが少し悩んでいたので、見てみることにした。
「どうした。どこかわかんないとこでもあるのか?」
と聞いてみると、あんがこちらを見ながら質問してきた。
「この、『俺と君とでは接点がないからもう関わることはないだろう』っていう主人公のセリフに違和感を感じるのだけれど、上手く言葉に表現出来ないのよ」
セリフの部分に違和感を感じ悩むというのは僕でもよくあるので分かる。このセリフは話の内容を読まないとどうなっているか分からないので、読んでみることにする。
「あん。キャラクターの設定とかもあるだろうから1度読んでみてもいいかな?」
というと、あんはあっさりとした返事をしてくれた。
「いいですよ。もう、下校の時刻ですので、持ち帰って読んでください。部員勧誘のビラとかは私が作っておきますので貸してください」
と頼りになる言葉を聞けたので、甘えさせてもらうことにする。
「わかった。じゃあ、今日はここで解散だな。また明日部室でな、あん」
「ええ。また明日」
と手を振ってその日は家に帰った。
その日の夜は、色々な修正点を付けていたため寝る時間が遅くなったが、あんのためならそんなことはどうでもよかった。
次は2人の関係にちょっとしたことを加えようと思っております。今後ともよろしくお願いします。