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2人の文芸部  作者: 赤坂剣
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page end of school day:下校の中

 下校中の2人


「政敬くんはいつから本を読んでいるの?」


 下校中にそんなことを聞かれたから、とりあえず、返事を返す。


「小学校の頃からかな、図書室でずっと読んでたよ」


 心臓をバクバクさせながら返事をしているが、隣にあんが一緒に歩いているのを考えると緊張してしまう。

 あんはなぜ、一緒に帰りたいのだろう。僕は1人で帰るのに慣れているから、逆に新鮮でとても大変だ。そういう些細なところに僕は気がいってしまう。


「ところで、あんってなんで僕に一緒に帰ろうなんて、言ってきたの? 僕としてはいつも1人だから嬉しいけど、理由が知りたくてさ」


 と聞いてみたのだ。あんは俯きながら小さな声で呟くかのように言う。


「だ、誰かと一緒に下校するということが、私にも無かったので、仲良くなれた政敬くんと帰りたいと思ったの」


 僕は少し嬉しくなって顔を赤らめながら別の方を向いてしまう。あんも僕と仲良くなりたいと思っているのだろうか? もしそうなら僕は嬉しい。そんなことより男が会話を切らしてはいけない。とにかく趣味の話をしよう。


「そういう風に思ってくれてたんだ。ありがとう。そうだ! 逆にあんはいつから本を読んでるの?」


 と聞いてみた。あんはしんみりした顔で話してくれた。


「私は、幼稚園の頃から英才教育として読まされていたのだけど、その本はつまらないからと親に言って、中学から普通の本を読んでいるの」


 大変なことがあるんだなぁ。と思いつつそろそろ近づいてく駅の付近で見慣れた顔を見てしまった。

 そう、僕の妹、遥である。外では話したくないと思っていたため、見なかったことにしていたが、むこうはこちらに気づいたのか、妹は友達と一緒にいる中、ビックリしていた。

 まぁ、そうだろうな。妹は僕に友達が出来たなんて信用出来ないもんな。とりあえず駅まで来たので、あんとはお別れになってしまう。


「もう駅に着いたね。あんは気をつけて帰ってね。また明日部活で話そう」


 と笑顔で言うとあんもこう返してくれた。


「はい。気をつけて帰りますね。また明日部活でお話しましょう」


 とまるで天使かのように笑ってくれた。あんの笑顔はほとんど見た事がないため、とても新鮮で嬉しい。そう言い合って手をお互い左右に振りながら別れの挨拶をした。


「よし、僕も家に帰るか」


 なんて、思って家に帰る。家に帰ったら妹に色々聞かれそうで怖い。そんなことより、あんと仲良くなっていけているので僕は嬉しい。また明日学校が楽しみだ。



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