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続編 -初めての… 3-

溜め息混じりに段ボールだらけの自分のデスクに戻ると


携帯が鳴った。


メールの着信を知らせる短い着信音。




誰だろう?




携帯を開いて見ると一夜さんからだった。


一夜さんと付き合う事になったといっても


私はまだ一夜さんからの着信やメールの受信も


特別な着信音に設定していない。


“普通”の着信音が鳴り終わった後、


メールの内容を確認すると―――、




−−−−−−−−−−


賢の店で待ってて。


−−−−−−−−−−




とても短い内容だった。




それでも私はすごく嬉しかった。


さっきはあの女の子達に“今日は無理”なんて言っていたのに。




−−−−−−−−−−


うん。


−−−−−−−−−−




彼から来たメールより短い内容で返した。


でも、それは余計な言葉を並べるより


それだけでいい気がした―――。






「いらっしゃい。」


一夜さんとの待ち合わせ場所のお店に行くと、


彼の親友・寺田賢さんがにっこり笑いながら


迎えてくれた。


イブの夜、一夜さんが私を連れて来てくれた


あのスープ専門店だ。




「あれ?一夜は一緒じゃないの?」




「はい、後で来るそうです。」




「そう、じゃあ、一夜が来るまで何か飲んで待ってる?」




「んー、空きっ腹に飲んだらヤバそうだから、お茶で。」




「あれ?晩メシまだなの?」




「はい、今日はさっきまで残業だったんですよ。」




「そっか、OLさんは大変だね。お疲れ様。」


賢さんはそう言うとウーロン茶が入ったグラスを


私の前に置いた。




「OLさんもだけど、サラリーマンも大変だぞー。」


すると、私の後ろから一夜さんの声が聞こえた。




「おぅ、いらっしゃい。」




「千莉ちゃん、お待たせー♪」




「あれ?一夜さん、今どこから入ってきたの?」


普通に入口から入ってきたらドアに付いている


ベルの音でわかるはずだ。


でもドアベルは鳴らなかった。




「ん?あっち。」


一夜さんはそう言うと入口とは反対の方を指差した。




「へ?」


一夜さんが指差した方向を見ると、


お店の裏口だった。




「え・・・なんで、裏口から?」




「まぁ、なんとなく?」


一夜さんはそう言うと私の隣に座った。




なんとなく・・・?




私が不思議に思っていると賢さんはクスクス笑いながら


「今日の『本日のスープ』は、おぼろ豆腐の和風スープだよ、


 ちなみに梅風味。」


と言った。


どうやら賢さんは、何故一夜さんがわざわざ


裏口から入ってきたのかわかっているらしい。




「俺は『本日のスープ』にするけど、千莉ちゃんはどうする?」


「じゃあ、私も。」


二人で『本日のスープ』を注文すると、


「まだメシ食ってないんだって?セットにする?」


と、賢さんが言った。




一夜さんはコクコクと煙草に火をつけながら頷いた。




セットは本日のスープに合わせたご飯物とおかずが付くらしい。


今日はじゃこ飯と出汁巻き卵と肉じゃがだ。


“スープ専門店”だけど、お客様からの要望も多いから


一応、こういう事もしているらしい。




「そういえば千莉ちゃんて、実家どこ?」


「千葉。」


「へー、年末年始は?やっぱ実家に帰るの?」


「うん、30日に帰る予定。」


「こっちには何時戻ってくるの?」


「3日のお昼に向こうを出ようと思ってるけど。一夜さんは?」


「俺も同じかな。」


「一夜さんて実家はどこなの?」


「横浜。」




へー、横浜なんだー。




て、事は4日は会えるのかな?




うちの会社は5日が仕事始めだし、


一緒に初詣とか行きたいな・・・。




しかし・・・




話はそれ以上進まなかった。




一夜さんは別に初詣に一緒に行きたいとかないのかな・・・?

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