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「賢はね、元々フレンチのシェフなんだよ。


 だから実はフルコースも作れちゃうんだ。」




「あ、あの・・・前園さん。」




「ん?」




「婚約者の話はそのー・・・」




「あー、その話ね。俺はいきなり婚約でも全然構わないけど


 できれば恋人からって事にしてくれたほうがいいかなー?」




「あ・・・えと・・・でもー、


 私、前園さんの事よく知らないしー。」




「よく知らないって事は、まったく知らない訳じゃないんだ?」




「顔と名前くらいしか知らないですよ?」




「それだけ知ってれば十分。」




「はぁ・・・。」




「俺も君の事は顔と名前と後、笑顔が可愛いって


 事くらいしか知らないよ?」


俺がそう言うと彼女は顔を赤くした。




「それに知らないから付き合いたいって思った。


 お互いの事を知るためにね。


 だから、つまりあれだ・・・宝くじみたいなもん。」




「へ?」




「宝くじ当たったら何に使おうとか買う前から


 言ってたって仕方ないだろ?」




「えぇ、まぁ・・・。」




「まずは、買ってみないと。


 てことで、まずは付き合ってみないと。」




「なんか・・・上手く丸め込まれてるような・・・。」




「気のせいだよ。・・・じゃあ聞くけどさ・・・」




「?」




「社内の誰ともあまり接触を持とうとしない君が


 どうして、俺に昔の彼の事なんか話したの?


 しかも、その彼の前で“婚約者”とまで言っちゃったし。


 本音も曝け出してたじゃん?」




「・・・そ、それはー・・・、自分でも


 よく、わかりませんけど・・・。」




「じゃ、こうしよう。」




「?」




「今日の『本日のスープ』が何か当たったら


 俺と付き合ってよ。」




「は?」




「あ、ちなみに俺、ここには死ぬほど来てるけど


 『本日のスープ』のローテーションとか知らないから。


 それでOK?」




「はぁ・・・。」




「よし・・・じゃ、本気で当てに行こ。


 んー、そうだなぁー・・・昨日が


 スープカレーだったからー・・・」




「前園さん、私が当てちゃったらどうなるんですか?」




「え?んー、高本さんの言う事なんでも聞くよ。」




「わかりました。じゃあ、私も本気で当てに行きます。」


高本さんはそう言うと悪戯っぽい目になった。




「OK、よし、俺は決めた。今日はビーフシチューとみたっ。」




「私も決めました。」




「ん?何?」




「オニオンスープです。」




「あー、それも有り得るなぁー。」




そして、そんな話をしていると、ちょうど賢が前菜を運んできた。




「よしっ、勝負だ。」


そう言って高本さんをちらりと見ると


「望むところですっ。」と笑っていた。




「賢、今日の『本日のスープ』何?」




「ん?あぁ、今日はオニオンスープ。」




チーン・・・




呆気なく勝負終了・・・。




「あれ?一夜、どうしたんだ?」




「いや・・・なんでも・・・」




高本さんは口元に手を当ててプププッと笑っていた。


そして、賢が再びキッチンの方に行くと、


「私の勝ちです。」


と、にっこり笑った。




「おかしいなぁー・・・今日は絶対、


 ビーフシチューだっていう気がしてたのに。


 でも、まぁ、男に二言はない。


 約束は約束だからね。さぁ、なんでも言ってくれ。」


そう言って俺が腕組みをして構えると


高本さんは「じゃあー・・・」と、少し考え、


「私、もっと前園さんの事が知りたいです。」


と、恥ずかしそうに笑って言った。






その後、『本日のスープ』を運んできた賢に


俺は“彼女”を紹介した―――。

メリークリスマス♪

皆様、楽しいクリスマスを(^-^)

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