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続編 -チケットは二度彼女の手に届く 4-

『合同ボーリング大会』が終わった後は近くの居酒屋に移動して打ち上げ。




「えー、それでは皆さん、お疲れ様でしたー! かんぱーい!」


幹事の松本くんの音頭で乾杯した後、


「それでは、これより『男性の部』と『女性の部』の上位三名の発表を行います」


もう一人の幹事・佐々木くんから成績発表と賞品の授与があった。




『男性の部』の三位は総務部の長谷川部長、『女性の部』は私。


賞品はビール券。




「じゃあ、長谷川部長と高本さん、並んで下さい」


佐々木くんに言われ、記念のツーショット写真。




「高本さん、表情硬いなぁー、笑って笑ってー」


デジカメを構えた佐々木くんは全然笑っていない私に「ハイ、1足す1はー?」と言い、


「2」と、私と長谷川部長が答えたところでシャッターを切った。




「次ー、二位の発表行きまーす!」


佐々木くんは記念撮影を終えると、さっさと二位の発表に移った。




『男性の部』の二位は一夜さん、『女性の部』はあの例の三人組の一人、鈴木さんだ。


一夜さんはかなり真剣にゲームをしていたみたいだから優勝できなかったのが悔しいのか、


なんとなく不機嫌そうな顔をしていた。


ちなみに二位の賞品はお米券。




「前園さん、鈴木さん並んでくださーい」


佐々木くんがそう言うと鈴木さんは一夜さんにぴったりとくっついた。




(何あれー? くっつき過ぎじゃない?)




「……」


正直、ムカッと来た。




一夜さんもやや眉間に皺を寄せている。




佐々木くんがデジカメのシャッターを押して


「ハイ、もういいですよー」と言った後も鈴木さんは一夜さんから


なかなか離れなかった。






そして最後に一位の発表。


『男性の部』は林田くん、『女性の部』は西川さん。




一位の賞品はなぜか『男性の部』と『女性の部』で違っていた。


『男性の部』は『ロイヤルディナークルーズ』のペアチケット、


『女性の部』は『東京ディズニーリゾート』の一日ペアパスポートだった。




(なんで一位だけ男性と女性で違うんだろ?)




その答えはすぐにわかった。


一位の記念撮影が終わった後、私の隣の席に林田くんが来て


「高本さん、松本か佐々木のどっちかから何か預からなかった?」


と言った。




「うん、預かったよ?」


それは昨日の事、昼休憩が終わってデスクに戻ると白い封筒とメモが置いてあった。




−−−−−−−−−−−−−−−


預かっておいてください。



          佐々木


−−−−−−−−−−−−−−−




私はきっと何かの書類か何かだろうと、あまり深く考えないで引き出しにしまった。




「それ、一位の賞品の『ロイヤルディナークルーズ』のペアチケットだから。


 14日に一緒に行こう」




「えっ?」




(うそっ)




「あ、ちなみに出港時間は確か19:00ですから」


佐々木くんはそう言うと、


「いやぁ〜、高本さんとデート出来るなんて林田さんが羨ましいです」


私と林田くんのグラスにビールをトポトポと注いだ。




「でも、俺、一位は絶対前園さんだと思ってたよ。


 最後の最後でまさか逆転できるとは思わなかった」


林田くんは一夜さんを横目にご機嫌顔でビールを飲み、グラスを空けた。




「しかも一点差ですもんねー」


佐々木くんは林田くんのグラスにまたビールを注ぎ、


「実は今回の裏企画で経理部と総務部の男性社員が選んだ女性社員の人気No.1と


 ホワイトデー限定の『ロイヤルディナークルーズ』でデートをする権利を賭けてたんです」


と、ネタばらしをした。




(じゃあ、一夜さんがあんなに真剣にやってたのは……)




一夜さんに視線を向けるとまたあの例の三人組に囲まれていた。




(バレンタインのチョコ、受け取って貰えなくてヘコんでたから


 一夜さんの事、諦めたのかと思ってたのになぁー)




それがまた何もなかったように三人ぴったり一夜さんにくっついて飲んでいる。




(……て、もう酔ってる?)




鈴木さん達は少し赤い顔で楽しそうに一夜さんに“絡んで”いた。


さすがに一夜さんはまだ酔っていないみたいだけど今日はお酒のピッチが早いのか


一夜さん達のテーブルには明らかに他のテーブルよりもビール瓶が並んでいた。

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