表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/43

続編 -初めての… 7-

「・・・ちゃん。」




一夜さん?




「千莉ちゃん。」




一夜さんの声がして目を開けると、私の目の前に一夜さんの顔があった。




「っ!?」


しかも助手席のシートが倒され、私の体に


一夜さんのコートがかけられている。




「・・・あっ!」




私・・・寝てた・・・?




「着いたよ。」


自分が寝ていた事にショックを受けていると


一夜さんは優しく笑いながら言った。




「あ・・・」


外の景色に目をやると、そこは私のアパートの前だった。




確か・・・




埼玉の神社に初詣に行って、それから境内を


散策して都内に戻りがてら寄り道でいろんな所に行って、


さらにその途中で夕食を食べて・・・




えーと、その後は・・・




その後・・・?




その後から記憶がない。




多分、昨日あんまり眠れなかった所為で


おなかいっぱいになって睡魔が襲って来ちゃったんだろうな・・・。




あぅー・・・最悪だ、私。




「ご、ごめん・・・」




「ん?」




「寝ちゃって・・・。」




「いや、俺の方こそ、ごめん。千莉ちゃんが疲れてたの


 気付いてあげられなくて。」




カーオーディオのデジタル時計はまだ20時を過ぎたばかりだった。




一夜さん、私が疲れてると思って早く送ってくれたのかな?




「ううん、違うの。」


“違う”と、言ったところで今さら本当の理由を言うのも


恥ずかしいけれど。




「いいよ、無理しなくて。」


一夜さんはクスッと笑った。




私、そんなに“マジ寝”してたのかな?




「あー、そうだ。千莉ちゃん、コレ横浜のお土産。」


そして車から降りる時、一夜さんが後部座席から小さな紙袋を取って


私に持たせてくれた。




「シュウマイ。」




「あ、ありがと。」




「それじゃあ、また明日、会社で。」




「うん・・・。」




「おやすみ。」


一夜さんはそう言うと私に優しくキスしてくれた。




この間よりも長くて優しいキスだった・・・。






―――部屋に戻って、一夜さんに貰ったシュウマイを


冷蔵庫に入れたほうがいいのか、冷凍庫に入れたほうがいいのか


確認しようと紙袋から出した。




後は賞味期限も見ておかないと。




「?」


だけど包装紙に貼ってある表記ラベルには賞味期限や


“要冷蔵”なんて事も書いていなかった。


仕方なく包装を解いて中の箱を出してみたけれど、


どこにも何も書いていない。




んー?




不審に思い、箱を開けてみると・・・




中に入っていたのは、シュウマイ。




だけれど・・・




それはシュウマイの実物大マスコット人形だった。


普通のシュウマイみたいに箱に詰めてある。


一瞬だけ見たら誰もが本物と見間違うだろう。




「・・・。」




やられた・・・。




“シュウマイ”って一夜さんが言った時、


やけに可愛い笑顔で言ったと思ったら・・・




私は一夜さんの可愛い笑顔にまんまと騙されたのだった―――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ