続編 -初めての… 5-
―――年が明けた午前0時。
私の携帯が鳴った。
ん?
こんな0時ぴったりに電話してくるなんて・・・誰だろう?
着信表示を見ると一夜さんだった。
「もしもしっ?」
『千莉ちゃん、明けましておめでとー♪』
「お、おめでとう。」
また、酔ってる・・・?
携帯越しに聞こえてきた一夜さんの声は
やけにハイテンションだった。
『今年もよろしくね♪』
「一夜さん、また酔ってる。」
『うん♪』
「・・・。」
素直だね・・・。
『酔ってるけど、年明け一発目に千莉ちゃんの声が聞きたかったから。』
そんな風に言われるとちょっと嬉しい。
怒る気になれないじゃん。
『千莉ちゃん、早く会いたい。』
「一夜さん、それ本気で言ってる?」
『もちろん♪』
ホントかなぁー?
『ねぇ、千莉ちゃん、4日は空いてる?』
「うん。」
『デートしたい♪』
「へ?」
『ダメ?』
「そ、そんな事ない・・・けど。」
『じゃあ、約束ね?』
「・・・うん。」
一夜さん、酔ってるのに約束して大丈夫かなぁー?
『それじゃあ、4日の朝10時に迎えに行くから。』
「あ・・・うん。」
とりあえず、“うん”とは言ってみたものの、
果たして一夜さんがこの約束を憶えているかどうか
いまいち不安だ・・・。
―――そして、約束の4日。
やけに朝早く目が覚めた。
昨夜、何を着て行こうかとあれこれ悩んでいて
夜中まで起きていたのに。
「一夜さん、約束憶えてるかなぁー?」
独り言を言いながら時計を見ると、9時50分だった。
10時に迎えに来るって言ってたけど、本当に来るのかなぁ?
・・・それから―――、
5分が過ぎ・・・
10分が過ぎ・・・
・・・で、10時になった。
シーン・・・―――。
携帯も鳴らない。
メールも来ない。
もちろん、インターフォンだって鳴らない。
「はぁー・・・。」
溜め息が出てきた。
一夜さん、やっぱり憶えてなかった・・・。