お米を土鍋で炊く。
普段、家でご飯を炊くとき、どうやって炊きますか?
炊飯器で炊く、という方が、ほとんどではないでしょうか。
子供の頃、学校のキャンプで、「飯ごう」という、アルミ製の曲がった楕円の形の容器を使って、コメを炊いたことがあります。コメと水の入った飯ごうを、コンクリブロックの間に渡した枝にぶら下げて焚火であぶるという、アウトドアならではの炊き方です。
飯ごう自体、黒くてかっこいいし、火を用いてご飯を焚き上げるというのが、子供心にまた魅力的でした。
でも、その飯ごうを使って炊いた経験を除くと、炊飯器以外でコメを炊いた事は、無かったように思います。
現代人はご飯を炊飯器で炊くものという、固定観念さえ、長年の間に持つようになっていたと思います。
でも、ある時、ネットのショッピングサイトで、炊飯用の土鍋というのを見かけて、購入者のレビューを読むと、かなり好評だったので、コメを火で炊くという事に、再び興味がわいてきました。
レビューには、電気で炊くより、火で炊いた方が美味しい、という意見が多く寄せられていて、美味しいものに目が無い私としては、毎日のご飯がよりおいしく食べられるようになるかもしれないという、誘惑を強く感じました。
で、とうとう買ったんです。その土鍋を。
3合炊きで、5000円。
土鍋にしては、かなりの値段です。耐熱ガラスのふたが付いていますが、それでもかなりの値段です。
炊き方は、30分コメを水につけておいて、強火に10分かけて、泡立ったら火を止め、15分蒸らす、という感じです。
炊く時間が10分でいい、というのは、意外でした。
炊飯器だと、スイッチを入れてから炊きあがるまでに1時間かかりますからね。
炊飯用の土鍋なので、水の目盛りが鍋の内側にあって、それに合わせれば水加減で失敗することがないです。
それに、難しいんじゃないかと思っていた火加減も、ずっと強火で炊けばいいだけなので、簡単で炊きあがりもきれいです。
で、肝心の味はというと、確かに、炊飯器で炊いたご飯より、美味しいです。
ものすごく違うとまでは言えませんが、甘味がより感じられるようになって、香りも良く、冷めたあとも固くなりにくいです。
なぜ、炊飯器での炊飯が主流で、鍋での炊飯が少数派なのか、不思議なくらい、簡単に美味しく炊けます。
(炊飯器には保温機能が付いていますが、土鍋だって、冷めたご飯に水を少々加えて、弱火にかけておくと、簡単に温められます。)
今回の土鍋での炊飯の紹介をすることで、何が言いたかったかというと、土鍋って楽しい、ご飯が美味しくなった、という感想が、もちろん一番なんですが、もう一つは、普段当たり前のようにたくさんの電化製品に囲まれて暮らしている私たちが、それに慣れ過ぎて、電化製品じゃなくてもできる事に、気が付きにくくなっている面もあるのではないか、という事に気が付いた事です。
電化製品でやっていることを、電気を用いない方法でやってみると、案外、電化製品よりも短時間で上手くできてしまったりすることがある。
便利便利と言いながら、より良い方法に気が付かないでいることがある、という事を、誰かに伝えたいなと思ったのです。