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旋律の少女  作者: やーた
2/12

第2話 優希と剣士

 熱い。


 私の五感に最初に刺激を与えたのは、熱だった。


 私は少しずつ他の感覚も取り戻していく。次に感じたのはオレンジ色の光と多くの人が何かを唱えている声だ。


(...火?それにこの声は...?)


 私はゆっくりと体を起こす。それと同時に何かを唱えている声が一斉に止んだ。思わず私は声のしていた方へと首を回した。


「...は?」


 多くの情報が一度に入ってきて私の頭はパンクしそうだった。


 深い森の中を想像させるうっそうと茂った木々。すっかり暗くなった夜空。そして、何故か石でできた台座の上にいる私を目を丸くして見上げる人々。


 彼等はまるで冒険映画に出てくる先住民族のような姿をしていた。一人一人が鳥の羽などで全身に装飾を施している。


 お互いが呆気にとられている中、先住民族(仮)のリーダーらしき男が動いた。


「か、神の恵みが...目を...」

(神の恵みってどういうこと...?まさか...)

「神の恵みを押さえろぉぉっ!!」

「おおおぉぉっ!」


 リーダーらしき男の掛け声で、人々が一斉に私に向かって走り出した。これで少なくとも一つ、わかった。この人達は私にとって逃げた方がいい相手だということだ。


 私は台座から飛び降りた。意外と高さがあり、着地がかなり痛かったがそんな事を気にしている余裕は無い。私は森に向かって走り出そうとした。その時だった。


「ひっ!」


 とすっという軽い音と共に、私の足下に一本の矢が突き刺さった。初めて自分に向けられる明確な殺意に足が竦み、私は走ることができなくなってしまった。


 すぐにさっきのリーダーらしき男が私に追いつき、手を掴まれる。


「嫌っ!離してよっ!!」


 必死に振りほどこうともがいたが男の力は強かった。そのまま私はさっきまで自分が横たわっていた台座の所までずるずると引っ張り戻されてしまった。


 私が台座の上に戻されたのを確認すると、大勢の人々は再び台座の前に集まった。


 私を拘束している男が鎮めさせてから言った。


「神の恵みに感謝を、神に祈りを!」


 そう言って男は私の首に手を回し、片手で抑えられるようにすると背中の方から剣を抜いた。妙にリアルな金属の音が、私の恐怖心を一層駆り立たせた。


(嘘でしょ?夢、だよね?嫌、死にたくない...!)


 そんな私の願いが届くはずもなく、やがて剣が私の首に当てられた。


「ぁ...」


 体から力が抜けた。もう、絶対死ぬ。そうあきらめた時だった。


「うわっ!」


 突然目の前に激しく燃える炎が現れ、私を拘束している男が声を上げた。直後、背後から叫び声が聞こえた。


「凛!!!」


 その声の主を私は知っていた。同じ声を、ほんの少し前にも聞いた気がする。


「優希!!!」


 男は私を掴んだまま後ろを振り向いた。同時に台座の上に優希が飛び乗った。


「なっ...貴様は何者だっ!」


 男が怒鳴ったが、優希はその質問には答えなかった。


「私の凛に...」

「?」

「なにしてくれてんだぁぁっ!!!」


 優希はそう叫ぶと、男の右手に強烈な上段回し蹴りを打ち込んだ。男はウッという短い声を上げると手に持っていた剣を落とした。


「らあああっ!!!」


 優希は剣を落とし怯んだ男の顎に向かって今度はアッパーを喰らわせた。


「があっ!」


 男はそのまま宙を舞い、台座から転げ落ちていった。


 優希が私を見て、言った。


「凛、怪我してねーよな?」

「う、うん」

「じゃあ早く逃げるぞ!」







 森に入ってから5分程走り続け、ようやく優希が足を止めた。


「はぁ...これだけ逃げればしばらくは大丈夫だろ。グラニス!いるか!」

「ここだ!大丈夫だったか!?」

「ああ」


 優希の呼び掛けに応えながら現れたのは若い男だった。顔立ちが整っていてまだ十代にも見える。まるでRPGゲームの主人公のような服装をしていて、背中には剣らしき物を背負っていた。


「優希、知り合いなの?」

「まあ、さっき初めて会ったんだけどな、剣士だってさ」


 彼の姿から察するに剣士とは文字通り剣で戦う人のことをいうと私でも予想できた。しかし21世紀にこんな人がいるはずがない。遂に私の頭はパンクした。


「ふぁ...もうどうなってるの...」

「まあそうなるよな。私も理解するのにだいぶ時間掛かったからな。その様子だと凛はついさっき目覚めたばかりなんだろ?」

「うん...」

「じゃあちょっと歩きながら話そう。ここで立ち止まっててもまたいつさっきの奴らに見つかるかわかんねーからな。グラニス、しばらく案内してもらっていいか?」

「わかった。ついて来いよ」


 そうしてグラニスと呼ばれた男の後につき、私達は歩き出した。


「じゃあ、私もよくわかってる訳じゃ無いけどさ、少しこの状況の話でもすっかな」


 そして私の方を向いた優希はいつになく真剣な顔で私に言った。


「いいか、落ち着いて聞けよ。どうやら私達は所謂“異世界”って奴に来ちまったらしい。」

「異世界...」

「お、案外驚かないな」

「...もう驚くのに疲れたよ」


 まだ目を覚ましてから10分も経っていない。短時間で色々なことが起きすぎた。


「私は1時間くらい前に目を覚ましたんだけどな、目を開けるとこの剣士がいたんだ」

「不思議な格好の人がいるなと思ったからな...」


 私は自分達が制服だということを思い出した。


(それじゃあよく考えたらさっきの優希の上段回し蹴りってスカート...いやいや!そんな事考えてる場合じゃなかった!)


「この世界は『グラノゲルト』っていうらしい。まあ難しいことはめんどくせーから落ち着いたら話すけどさ。それでこのグラニスって剣士から色々聞いてるうちにそれじゃあ凛もこの世界に来てるんじゃないかと思って探したらあんな事になっててな、流石の私も焦ったよ」

「あいつらはこの森で暮らしている少数民族なんだ。この森はあまり動物がいないからあいつらとって肉は貴重なんだよ」


 それを聞いて私はぞっとした。やっぱりあの人達は私を殺した後皆で食べるつもりだったのだろう。


「グラニスの魔法が無ければどうなってたんだろーな...」

「魔法?」


 そういえばそれらしいものを私は一度見ている。優希が台座に飛び上がる直前、前触れもなく突然炎が上がっていた。

 

「じゃああの炎はグラニスさんが?ていうか魔法って...」

「落ち着いたら俺からも教えてやるよ。さっきの炎は俺がやったんだ」

「そうなんだ...二人ともありがとう!」

 

 魔法という存在に驚きながらも、私は二人にお礼を言った。この二人が来てくれなければ今頃私は切り刻まれていたのだから。


「いや、お礼はグラニスだけにしてくれ。私は凛に謝んなきゃならねぇ」


 なぜか優希がそんな事を言った。


「私がちゃんと掃除してりゃあこんな事にはならなかったんだし、何より私は凛を巻き込んだんだ。本当に悪かったな…」

「いやいや、楽器吹いちゃったのは私なんだし...私の方こそごめん!」

「そうか...ありがとな。やっぱ凛はいい奴だな!」

「優希もね!」


 そんな会話しながらも私達はしばらく歩き続けた。30分くらい歩いただろうか、森の出口が見える気配は一向にしなかった。疲れも溜まってきた私は、思わずグラニスに問い掛けた。


「グラニスさん、私達これからどこに行って何をするんですか?」


 グラニスがくるりと体を回転させ、私の方を向いてから答えた。


「とりあえず今日はここから一番近い町...後15分くらいか?そこの町の宿に泊まる」

「じゃあすぐに元の世界に帰れる訳じゃないんだ...」

「そりゃあ俺もお前ら二人がここに来た理由に詳しいわけじゃないからな...」


 グラニスの言い回しに違和感を感じた私だったが、その理由はすぐに明らかになった。


「ふ、そういえば何でグラニスは私達に対してそんなに驚いたりしねーんだ?というか異世界からやってきたなんてよく信じられるな」


 唐突な優希の質問に、グラニスはこう答えた。


「それは...俺もよく知ってるわけじゃないけど稀にあったらしいからな、こういうこと」

「え!?」


 私と優希の二人は目を丸くして驚いた。


「まあ、多くても100年に一度くらいって言われてるらしいけどな。俺はあまりその事について詳しくないから明日になってからこの国の首都にいる学者に聞きに行こうとおもったんだよ」

「首都?」

「ああ。と言っても俺達がこれから泊まる町から歩いて一時間くらいで着くけどな。お、森を抜けるぞ!」


 グラニスがそう言って前の方に指を指した。その方向では確かに木々が少なくなり、その少し先には町らしき明かりが見えていた。



※優希が強すぎますが一応女子です。

 第2話にしてストーリーと文章が崩壊寸前です。そしてグラニスの影が薄い...何とかしなければ…

 まだまだ崩壊していくかもしれないです。この先大丈夫かな…


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