表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢想世界

作者: 尚文産商堂

綿あめが空に浮かんでいる。

いや、あれは雲だと、俺は声に出してみるが、やはり脳は綿あめだと認知している。

立っているところは大地だろうか。

それとも、たんに固い物体の上なのだろうか。

「俺は誰なんだ」

誰ともなく聞いてみるが、その声はどこにも反射することなく、遠くへ消えて行く。

綿あめに吸い込まれ、そして、綿あめは成長する。


歩いてみようと足を踏み出す。

固く感じる。

だが、見た目は苔のような感じだ。

「誰もいないのか…?」

同じように、響いていくだけだ。

誰も返事はない。

誰もいないのか。

そう思って、さらに足を出す。

ボスン、ボスンと煙を吐いて、苔が呼吸する。

それは、足元にまとわりついてくる。

「俺は、誰だ」

その答えは、だれも言ってはくれない。

綿あめは、ますます膨らんでいく。

苔から吐き出される呼気は、霧を構成し、それも、雲となり、綿あめと化する。


いよいよとアメが降ってきた。

アメは甘く、そして痛くない水滴だ。

「俺は……俺は……」

何も思い出されない。

そして、雷が落ちた。

俺の身体を貫いて、そして。


目が覚めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ