護衛役は女の子っ!番外編「私は紅の味方。」
いつになく、ざわざわし始めた街。
人々がこぞって街のメインストリートを目指すが……残念なことに、私は生まれて今までこの街でこんなに一度に人が集まってくるなんて、見たことが無かった。
…………特に老人たちが、おじいさん、おばあさん達がこんな明るい時間帯に街に現れるとは。
「やっぱ、紅の姫さま効果はすごいなぁ~」
じいちゃんも、ばぁちゃんも、もと元老院の人たちも皆、今日に浮足立ってた。
最近特に規制が強かった反動というか、何というか。
ほら、うちの学校の校長なんて今日を休学にしちゃった。おかげでチラホラと子供の姿も。
「……知らないよ、罰食らっちゃっても」
これだから、老人は…………あとどれだけ生きれるかに保証ないって、行動を早めてしまう。
だけど、まだ早いんだ。
今、ここで見つかっちゃったら……老人だらけのレジスタンスなんてすぐにつぶれる。そうに決まってる。
そしたら今までのこと全て、そして未来のことも水の泡に。姫様はきっと檻の中に。
「やっぱり、私みたいな数少ない若者が引っ張って行くべきか。面倒くさいー」
私みたいな若者。
あのレジスタンスの中では珍しい。
多くが古い歴史に囚われて、「紅の王家」の復活を願う老人たち。
でも、私は違う。
私の中で「紅の王家」のことは教科書の話だし、それにぶっちゃっけ復活なんかにも興味がない。
こんなこと言ったらきっと仲間たちに皆殺しにされるだろうけど。
――――私はあの綺麗な髪に引かれたんだ。
学校のはじめての歴史の授業。
真っ先に教えられたのは…………「悪魔の紅い王家」の話。
先生は悪口言うみたいな口調で罵り、クラスメイトはその勢いと説得力にただ頷くだけだった。
でも、私はいつも通り先生の話なんて聞いてない。
私はただ一点、教科書資料の写真だけを見つめて、耳なんて馬耳東風状態。
そんで、バカな行動をとった。空気読めてない、人生の分岐点かもしれなかった行動をとった。
「……綺麗!!」
先生の熱弁がかき消されるぐらいの大声で、私は率直な意見を叫んだのだ。
だって……だって、とっても綺麗だったから。
私の心に何か衝撃を与えるくらい、紅く澄んだその髪と真っ直ぐな瞳に――――私は同性ながらもアンジェリーナ姫様に引きつけられた。
もちろん、担任にはガミガミと怒られたし、友達には少し引かれちゃったし。
でもおかげでレジスタンスの幹部である校長のお目にかかり……私は今に至る。
「あー早く見たいな。生のお姫さま」
あの紅い髪。
私の頭皮から生えていても、きっとあそこまで綺麗に見えない。人々を引き付けられないと思う。
やはり、そこは王家のオーラがあるか無いかの話なのだろうか。
いや、違う。
私が引きつけられたのは……アンジェリーナ姫さまだけだった。
他の「紅の王家」の人々には、興味がなかった。
あれは、アンジェリーナ姫さまだからこその――――美しさだったのだ。
きっと。
きっとこの国は姫さまから見れば、変わったことだろう。
もう貴方たち王族を守ってくれる人、少ししかいなくなっちゃった。
だけど、まだいるのも事実。
皆で…………私も出来るだけ守ってあげたい。
――――あの教科書の写真みたいにもう一度、素敵な笑顔を見たいから。
まぁ、私は
罰あたりな味方ですけどね。
少女はもう一度、メインストリートを見つめなおした。
他の人と同じ興味の視線と、温かな慈愛に満ちた瞳で。
こんにちわ。
今回は番外編リクにお応えした作品です。
しかし!!
ちょっとリクエスト内容と違うものが出来てしまった!!すみません(>_<)
(ちょっとだけ見苦しい言いわけ↓)
実は、春日も似たようなことを考えており、今後の話にも繋がることでしたので、こんな形までしか書けませんでした。
たぶん、伯爵クラスや大臣クラスでの味方などの、アンジェがボロボロな姿に悲しむやら同情……を希望されて頂いたんだと思いますが……こんな新キャラまがいな少女視点になってしまって、本当に申し訳ない!!
これから、この話関係など本編でも重要なキーワードで触れていくと思いますので、そちらで満足頂けるよう頑張りたいと思います(>_<)!
本当にこの度はリクエスト、ありがとうございました!
これからもどうぞ、護衛役は女の子っ!を宜しくお願いいたします。
では。