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赤面決闘!【短編】③学園最強の氷の王子を赤面させたら私の勝ちですわ!

作者: 杜英智
掲載日:2026/07/06

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第3話 可愛い制服作戦ですわ!


【作戦③ 可愛い制服作戦】

成功率 100%(セレナ予想)

いつもと少し違う姿は、男の方をドキッとさせるそうですわ!



「よしっ!」


私は鏡の前でくるりと一回転した。


学園指定の制服。


だけど今日は、お母様と二人で少しだけ可愛く仕立て直した特別仕様だ。


リボンを少し大きく。


スカートの裾には控えめなレース。


誰にも注意されない程度の、小さなイメージチェンジ。


「今回は勝ちましたわね!」


(ここまで可愛ければ完璧ですわ!)


(アルベルト様も、きっとドキッとなさいます!)


私は胸を張って教室を飛び出した。



廊下へ出ると、今日も何人もの男子生徒が待っていた。


「エヴァンス嬢!」


「私と決闘してください!」


「次は私です!」


私は苦笑する。


学年総合順位第二位。


保有ポイント80。


そのせいで決闘を申し込まれることは珍しくない。


「ごめんなさい。」


「今日は先約がありますの。」


笑顔で断り続けていると、人混みが静かに割れた。


「エヴァンス嬢。」


現れたのは、学年第三位のレオンだった。


周囲がざわつく。


「レオン様だ……。」


「三位自ら?」


レオンは爽やかに微笑む。


「君の80ポイントは魅力的だ。」


「今日こそ、私と勝負してくれないか。」


(えぇぇぇ!?)


(三位の方からですの!?)


ほんの少し迷った、その時だった。


「――エヴァンス嬢。」


聞き慣れた低い声が響く。


人垣が自然と左右へ開く。


アルベルトだった。


制服の襟がほんの少し乱れ、前髪もわずかに風に流れている。


(……あら?)


(今、走ってきたような……。)


……気のせいですわよね。


アルベルト様ですもの。


アルベルトは何事もなかったように歩み寄る。


「私に敵わないからといって、他へ逃げるとは見損なったぞ。」


「ち、違いますわ!」


私は慌てて手を振る。


「私は最初からアルベルト様と決闘するつもりでしたの!」


「……そうか。」


その一言だけで、アルベルトの口元がほんの少し緩んだ。


レオンは苦笑しながら肩をすくめる。


「なるほど。」


「今日は私の出る幕ではなさそうですね。」


「また次の機会に。」


そう言って爽やかに去っていった。


アルベルトは静かに私へ向き直る。


「では。」


「私が相手をしよう。」


カァァァン!!


学園中へ鐘の音が響き渡る。


赤面決闘、開始!


━━━━━━━━━━━━━━


Battle Start!!


セレナ   HP 100


アルベルト HP 100


━━━━━━━━━━━━━━


【セレナ】


(来ましたわ!)


(今回の作戦は――。)


(可愛い制服作戦ですわ!)


(ここで勝てば100ポイントカード!)


(絶対に負けられませんわ!)


私は胸を張って一歩前へ出た。


「アルベルト様!」


「本日の私は、いつもと少し違いますの!」


くるり、とその場で一回転してみせる。


スカートの裾が、ふわりと揺れた。


「いかがでしょう?」


アルベルトは静かに私を見つめる。


「 …………… 」


━━━━━━━━━━━━━━


アルベルト


HP 100 ▶ 90


━━━━━━━━━━━━━━


【アルベルト】


(可愛い。)


(今日はいつも以上に可愛い。)


(いや……。)


(反則だろう。)


【セレナ】


(よしっ!)


(効いておりますわ!!)


(ダメージ確認ですわ!)


(ですが、まだ決定打には至っておりません!)


(さすが学園最強……!)


(この程度では倒れませんわね。)


(ならば、ここからが本番ですわ!)


アルベルトが静かに右手を上げた。


【セレナ】


(……!?)


(来ますわ!)


(反撃ですの!?)


【アルベルト】


(今日は負けるわけにはいかない。)


(このままでは、いつか他の男に彼女のカードを奪われる。)


(だから――。)


「――《転送》」


次の瞬間。


私の目の前に、百本の真っ赤な薔薇が現れた。


「えっ……?」


学園中がどよめく。


「百本の薔薇……!」


「アルベルト様が?」


アルベルトは花束を抱えたまま、ゆっくりと私の前へ歩み寄る。


その瞳は、真っ直ぐ私だけを見つめていた。


「エヴァンス嬢。」


「受け取ってくれないか。」


ドクンッ!!


━━━━━━━━━━━━━━


セレナ


HP 100 ▶ 30


━━━━━━━━━━━━━━


【セレナ】


(いっ……今のは危なかったですわ!!)


(初めてですわ!)


(アルベルト様から攻撃してくるなんて聞いておりませんわ!!)


(危うく負けるところでしたわ!)


(三割も削られましたの!?)


(なんという破壊力ですの!)


(落ち着きなさい、セレナ!)


(これは決闘です!)


(まだ逆転できますわ!)


(勝負はここからです!!)


私はもう一度アルベルトを見る。


その瞳には、不思議なほど強い想いが宿っていた。


(……あれ?)


(受け取っていただけるか、不安そうなお顔ですわ。)


(演技……ですわよね?)


(でも……。)


(そんなお顔をされたら……。)


私は大きく息を吸い込む。


(こちらも応戦いたしますわ!)


(必殺――。)


(最高の笑顔ですわーーっ!!)


私は花束を両手で受け取り、とびきりの笑顔を向けた。


「ありがとうございます。」


その瞬間だった。


アルベルトの頬が。


耳が。


首筋まで。


みるみる真っ赤に染まっていく。


━━━━━━━━━━━━━━


アルベルト


HP 90 ▶ 0


K.O.!!


━━━━━━━━━━━━━━


「 …………… 」


静寂。


誰一人として動かなかった。


「え……。」


「い、今……。」


「アルベルト様が……。」


「赤面した……?」


「う、嘘だろ……。」


「学園最強の鉄面皮が……?」


ざわっ――。


ざわざわざわっ。


学園中が騒然となる。


【セレナ】


(え……。)


(えぇぇぇぇぇ!?)


(あ、アルベルト様が!?)


(赤面なさっておりますわ!?)


(い、一撃ですの!?)


(私の必殺技、一撃で倒してしまいましたの!?)


(な、何が起こりましたのーー!?)


私は花束とアルベルト様を何度も見比べた。


「勝った……んですの?」


アルベルトは小さく笑った。


「……私の負けだ。」


学園中がどよめく。


「まさか……。」


「アルベルト様が負けるなんて……。」


「しかも赤面で……。」


私はまだ状況が飲み込めず、花束とアルベルト様を何度も見比べた。


(えっ……。)


(勝ったんですの?)


(本当に?)


(私……。)


(勝ってしまいましたの!?)


アルベルトは懐から一枚のカードを取り出した。


金色に輝く、『100』と刻まれたカード。


「約束だ。」


「このカードは君のものだ。」


私は震える手でカードを受け取る。


「つ、ついに……。」


「100ポイントカード……。」


(やりましたわーーーっ!!)


(とうとう手に入れましたわ!!)


(長かったですわーーーっ!!)


思わずその場でぴょんっと飛び跳ねる。


「ありがとうございます!」


アルベルトは、その姿を見て思わず口元を緩めた。


(……あら? 負けたはずなのに、アルベルト様、なんだかもの凄く嬉しそうなお顔をされていますわ……?)


「そして。」


「私は敗者だ。」


「君の願いを、一つ聞こう。」


(あっ!)


(そうでしたわ!)


(勝者は敗者にお願いを一つできるのでした!)


私は腕を組んで考え込む。


(何をお願いしましょう……。)


(毎日お茶をご一緒……?)


(いえ、それでは決闘になりませんわ。)


(うーん……。)


しばらく考えたあと、私はにっこりと笑った。


「何もありませんわ。」


アルベルトは少し目を丸くする。


「……ないのか?」


「はい!」


「私の決闘に、いつも付き合ってくださってありがとうございます。」


「これからも、よろしくお願いいたします!」


一瞬だけ、アルベルトは驚いたような表情を浮かべる。


そして、小さく微笑んだ。


「……ああ。」


「こちらこそ、よろしく頼む。」


カァァァン!!


カァァァン!!


カァァァン!!


試合終了を告げる鐘が、学園中へ高らかに鳴り響いた。



その日の放課後。


生徒会室。


窓から差し込む夕日が部屋を優しく照らしていた。


アルベルトは機嫌よく紅茶を口に運ぶ。


その向かいでは、ライナーが苦笑していた。


「アルベルト様。」


「ご立派でした。」


「ようやく、ご自身からお気持ちを形にできましたね。」


アルベルトは照れくさそうに笑う。


「ああ。」


「……薔薇を受け取ってもらえた。」


「それだけで十分だ。」


そう言って、思い出したように口元を緩める。


「それに。」


「笑ってくれた。」


「最高だった。」


ライナーは呆れたように肩をすくめた。


「恋とは恐ろしいものですね。」


「学園最強と名高いアルベルト様が、百本の薔薇を受け取っていただけただけで、そのようなお顔になるとは。」


アルベルトは少し視線を逸らし、紅茶を一口飲んだ。


「……次は。」


「もっと、自分の気持ちを伝えてみたい。」


ライナーは優しく微笑んだ。


「ええ。」


「きっと、うまくいきます。」



その頃。


私は100ポイントカードを何度も眺めながら歩いていた。


(やりましたわ!)


(100ポイントカードですわ!)


(ついに手に入れましたわーーっ!!)


……でも。


ふと、足が止まる。


(それにしても……。)


(どうしてアルベルト様は、赤面なさったのでしょう?)


私は首をかしげる。


(これまで、あれこれ試してきましたのに。)


(たった百本の薔薇を受け取っただけで……。)


(そんなに嬉しかったのでしょうか?)


しばらく考える。


(……まさか、そんなことありませんわね。)


私は一人で納得すると、大きく頷いた。


(よしっ!)


(今回の戦法も、しっかり記録しておきましょう!)


(次の決闘でも使えそうですわ!)


にやり、と笑う。


「次は……。」


「次こそは、もっと凄い作戦を考えてみせますわ!」


こうして。


セレナは念願だった100ポイントカードを手に入れた。


アルベルトもまた、小さな一歩を踏み出した。


これにて――


第一回赤面決闘イベント、閉幕。


次なる決闘イベントが始まるその日まで。


二人の勝負は、ほんの少しだけ幕を下ろすのだった。




読んでくださってありがとうございます!

イメージイラスト

挿絵(By みてみん)

セレナ&アルベルト&ライナーの日常


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※応援ありがとうございました!

本作は長編化のため、7月30日に削除いたします。 約1か月後を目安に連載を開始する予定です。 その際は、また読みに来ていただけると嬉しいです!

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