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第二十三話
果歩は、次の日。
旅行会社からもらったパンフレットを広げたまま、パソコンを開いた。
ページをめくりながら、ふと気になってブラウザーを立ち上げる。
その瞬間、画面右下に小さな通知アイコンが光った。
Facebookのお知らせ。
――何だろう。
軽い気持ちでクリックする。
表示されたのは、短いメッセージだった。
いい風は、吹きましたか?
――山の手線のルナより
……え。
一瞬、思考が止まる。
おばさん?
私のFacebook、知ってたの?
思わず画面を見つめたまま、声にならない声が出る。
――これって、占い師の反則技じゃない?
胸の奥で、可笑しさと戸惑いが同時に膨らむ。
ということは、あの地図も。
もしかして、
私が「好きだった場所」の地図を、
ただ、くれただけだったんじゃない?
わざわざ、行く気になっていたのに。
少し拍子抜けして、でも、どこかで納得する。
まあ……。
あそこで吹く風は、日本とは少し違うかもしれない。
画面を閉じ、パンフレットに目を落とす。
旅は、占いよりも、ずっと現実的な形で進んでいる。
それでも、
あの一言が、背中を軽く押したことだけは、確かだった。




