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第二十話
お昼休み、果歩は封筒に書かれていた「VIP専用デスク」の番号に電話をかけた。
名ばかりではなく、本当にVIP専用らしく、受話器の向こうの声はやけに丁寧だった。
すでに行き先は母から伝わっているらしく、話は早い。
あとは日程と出発日時、希望するパックのクラスを決めるため、
一度カウンターに来てほしい、という。
「土曜日に伺います」
そう告げると、時間だけが静かに決められた。
電話を切って、果歩はふうっと息をつく。
久しぶりの銀座だ。
どうせ行くなら、旅行用のバッグも新しくしよう。
今使っているものは、もう何年も前のもので、さすがにくたびれている。
――せっかくだし、少し回ってみようか。
果歩は、昼休みの残り時間を気にしながら、
頭の中で銀座の通りを思い浮かべた。




