表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の時代  作者: velvetcondor guild


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/42

第十六話

管理人

① 오늘부터 잘 부탁합니다.

② オヌルブト チャル プタクハムニダ

③ 今日から、よろしくお願いします。

一拍、置く。

事務的な声ではない。

評価でも、挨拶でもない。


管理人

① 기대하고 있습니다.

② キデハゴ イッスムニダ

③ 期待しています。


母は、その言葉の意味を取れない。

けれど、

声のトーンが変わったことだけは分かる。

空気が、一段、静かになる。


「今夜、また説明があるの?」


耕作

① 세부 규칙은 오늘 저녁 오리엔테이션에서 설명하나요?

② セブ キュチグン オヌル チョニョク オリエンテイションエソ ソルミョンハナヨ?

③ 細かい規則は、今夜のオリエンテーションで説明されますか?


管理人

① 네, 오늘 밤에 전체 오리엔테이션이 있습니다.

② ネ、オヌル パメ チョンチェ オリエンテイションイ イッスムニダ

③ はい、今夜、全体オリエンテーションがあります。


管理人

① 오늘은 여기까지입니다. 어머님은 이제 돌아가셔도 됩니다.

② オヌルン ヨギッカジイムニダ。オモニムン イジェ トラガショド テムニダ

③ 本日はここまでです。お母様は、もうお帰りになって大丈夫です。


「……分かりました」

そう言って、

耕作の方を見る。


耕作

「今夜、説明があるって。

 だから、大丈夫」

それは説明というより、

帰っていい、という合図だった。


母は、うなずき、

何も言わずに一歩下がる。

役割は、ここで終わった。


管理人

① 그럼, 잘 적응해 봅시다.

② クロム、チャル チョグンヘ ポプシダ

③ では、うまく適応していきましょう。


耕作

① 네.

② ネ

③ はい。


母は振り返らず、

そのまま玄関を出ていく。

自動ドアが閉まる音が、

この朝の最後だった。

守る役目は、

外へ出た。

外の光と風が、

母を包む。

母は、そのまま歩き出しかけて、

二歩目で止まった。

振り返る。

ガラス越しに、

耕作が立っている。

もう、

中の人間の立ち方をしている。


母は、

ドアが再び開くのを待って、

小さく手を上げた。

「……何かあったら」

一度、言葉を切る。

「何かあったら、

 電話するんだよ」

それは命令でも、

確認でもない。

役目が終わった人の、

最後の習慣だった。


耕作は、

すぐには頷かない。

一拍、置いてから、答える。

「うん。する」

短い。

それで十分だと、

互いに分かっている。

母は、少し迷ってから、

思い出したように、韓国語を置く。


① 아프면 꼭 전화해.

② アプミョン コク チョナヘ

③ 具合が悪くなったら、必ず電話して。

発音は、

少しだけ不安定だった。

耕作は、韓国語で返す。


耕作

① 네, 알겠어요.

② ネ、アルゲッソヨ

③ はい、分かりました。


その「はい」は、

もう、子どもの返事ではなかった。

母は、何も付け足さず、

今度こそ、背を向ける。

風が、

彼女のコートの裾を引く。

それを直さず、

歩いていく。

耕作は、ガラスの内側で、

一度だけ、深く息を吸った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ