お酒は控えめに!
夜中にようやく自宅に帰りついてベッドに倒れこむ。化粧を落とす気力もないほどにしんどい。
「うわー、ツーカーレータァー・・・・・・はあ」
本当に凄く疲れた。疲れたのだが今日は仕事じゃないどころか、休みだ。何ならガッツリ遊んだ。ホワイト企業なので有給をしっかりくれるのだ。
だから久々の休みに調子乗って、明日は早番なのに昼から酒を飲んで飲んで飲みまくって気が付いたら夜中の1時だ。
おぼろげな記憶の中で見知らぬおっさんが「きみ!やめるんだ!」「それ以上飲んだらご家族が悲しむぞ!」とか言っていたからとりあえず相手の口にチューハイぶっこんだのは覚えている。
「フフ・・・おじさん無事だといいなあ」
でも反省はしない。昼間から酒をダバダバになっても飲んでいる人間なんてまともなはずがないのだ。近づくのが悪い。高い授業料だったね♡いや、むしろ酒という授業料貰ったのか。ガハハ!
でもアルコールで満たされた体が明日の仕事に悪影響を与えるのも事実。冷蔵庫に蜘蛛のごとくシャカシャカ歩いて冷蔵庫でキンキンに冷えたグレープフルーツジュースを飲もうと扉を開けると、中には隙間もないほどに詰め込まれたスト〇ロング/zeroが。
「っ、なぜ、なぜだ!ストローング!!!」
戦場で戦友が死んだかのような絶望感に襲われる。いや、わかるんだ。こんなことになったのはすべてあたしが原因なんだってこと。
~24時間前~
「ただいま~!うぴぴぴ~。家主様が帰ったぞっくらぁ!冷蔵庫ちゃんにお土産だぞぉん♡明日のアタシといっぱいチューハイでチューチューしようね♡あ、グレフルじゃん。お前邪魔だから飲み干すね」
~現在~
圧倒的無能!馬鹿野郎!過去の人間は愚か!未来に生きる人間の事も考えない無価値な存在!!
ついさっきまでフワフワだった頭が心なしか現実に向き合おうとしてくる。実にやめてほしい。おとなしく酒に溺れてろよ。
「っく、かくなる上は!」
床に這いつくばりながら何とか台所の水道の前に立つ。こんな事、やりたくはなかった!
こんな・・・こんな、酔い覚ましに水道水を飲むなんてことは!(なぜなら此処の地域の水道水は非常にマズイ)
だが背に腹は代えられぬ。勢いをつけて蛇口をひねった。
だが何も出てこなかった。
「・・・あれ、なん、どうして?ア、アタシは」
そういえば今回の休みは有給を急いでもらったのだ。理由は水道が壊れたのか水が出ないから。
そして今日。自分はいろんな店をはしごして飲みまくっていた。
呆然としているうちに体から力が抜けて座り込む。
「すまん、グレフル。お前が正しかった・・・」
下手な神も数うちゃ当たる。八百万の神に祈りつつ、アタシはそのまま寝たのだった。とりあえず明日の仕事は無事に乗り越えることができますように。




