8:新たな一歩
涼太と優が告白し合ってから数週間が経った。二人はますますお互いに対する気持ちを深め、毎日のように一緒に過ごす時間を楽しんでいた。だが、涼太の心の中には、まだ少しだけ不安が残っていた。それは、彼女を幸せにできるのかという自信のなさから来ているものだった。
ある日、放課後に二人はまたいつものカフェで会うことになった。この日は特別に涼太が自分から誘った。いつものようにカフェで話しながら、優が少し不思議そうな顔をした。
「涼太、今日はどうしたの?いつも私が誘ってるのに、急にあなたが誘ってくれるなんて」
優は微笑んで、涼太の顔をじっと見つめた。
涼太は少し照れくさそうに肩をすくめた。
「いや、なんとなく。今日はちょっと大切な話がしたくて」
優はその言葉に少し驚いた様子で目を丸くした。
「大切な話?」
涼太は一瞬、何を言おうか迷ったが、すぐに覚悟を決めた。
「うん。実は…僕、少し不安なんだ」
優はじっと涼太を見つめ、何も言わずに静かに待った。涼太はその視線に心を落ち着けながら、続けた。
「優と付き合うようになって、すごく嬉しいし、楽しいんだけど…でも、僕、まだ自分に自信がなくて。君を本当に幸せにできるのか、ちゃんと守れるのか、不安になることがあるんだ」
優は少し驚いた表情を見せたが、すぐにその顔が柔らかくなり、優しく微笑んだ。
「涼太、そんなこと気にしなくていいよ。私も、最初は不安だったけど、涼太が私に対してどれだけ真剣か、ちゃんと伝わってるから」
涼太はその言葉を聞いて、少し驚きながらも、心が温かくなるのを感じた。
「でも、もし僕がうまくいかないことがあったら…どうすればいいかわからなくて」
優はその手を静かに取った。
「そんなこと、気にしなくてもいい。私も一緒にいることで不安になることがあるけど、それでも涼太と一緒にいると安心する。だから、どんな時も一緒に乗り越えていこうよ」
その言葉を聞いた瞬間、涼太は心の中で大きな安堵を感じた。優が自分の気持ちを理解してくれていること、そして自分も優を支えたいという気持ちが、より強くなった。
「ありがとう、優」
涼太は優の手をしっかりと握り返した。
「僕、もっと自分に自信を持って、君をしっかり守れるように努力する」
優は涼太を見つめて微笑んだ。
「それで十分だよ。私も、涼太と一緒に成長していきたいから」
二人はその後、カフェでゆっくりと過ごしながら、お互いの未来に対する希望を語り合った。涼太の中で、今までの不安が少しずつ消えていき、優と共に歩む未来への一歩を踏み出す決意が固まっていった。
外の風景は夕暮れ時の柔らかな光に包まれていた。涼太と優は、これからどんな困難が待ち受けていようとも、二人なら乗り越えられると信じていた。お互いに支え合い、成長していくことを誓い合って、新たな一歩を踏み出すことができた。
カフェを出ると、涼太は優の手を握りながら、幸せな気持ちで満たされていた。これから先、二人の未来がどんな形になるのかはわからないけれど、一緒に歩んでいけることが何よりも幸せだった。