7:初めての告白
それから数日後、涼太は優との関係に少しずつ自信を持ち始めていた。お互いに気持ちを確認し合ったことで、前よりも自然に接することができるようになり、毎日が楽しく感じられるようになった。しかし、涼太にはまだ一つ、心に引っかかることがあった。それは、優に対して自分の本当の気持ちを伝えることだった。
涼太は自分がどれだけ優を大切に思っているか、どれだけ彼女を守りたいと思っているか、その気持ちをちゃんと言葉にして伝えたくてたまらなかった。でも、告白するタイミングがわからず、毎日そのことが頭を離れなかった。
そんなある日、放課後に二人はいつものカフェで会うことになった。涼太はすでに店の中にいて、優を待ちながらコーヒーを一口飲む。外の景色は少し曇っていて、雨が降りそうな予感が漂っていた。涼太はふと時計を見て、優が遅れていることに気づいた。心の中で少し焦りながらも、彼女を待つことにした。
そして、約束の時間を少し過ぎた頃、優が店に入ってきた。彼女は少し急いだ様子で、濡れた髪を手で払いながら涼太に微笑みかけた。
「ごめん、遅れちゃって。」
優は席に着くと、申し訳なさそうに言った。
「大丈夫だよ。」
涼太は優を見て、つい微笑んでしまった。
「気にしないで。」
優は少し安心したようにうなずきながら、メニューを手に取る。
「じゃあ、今日は何かおすすめの飲み物でも頼もうかな?」
涼太はその時、ふと胸の中で決心した。この瞬間を逃さずに、優に自分の気持ちを伝えよう。今までの迷いや不安を振り払い、心を込めて告白しようと思った。
「優。」
涼太は静かに彼女の名前を呼んだ。
優は驚いた様子で涼太を見つめる。
「なに?」
涼太は少し息を吸い込み、目をじっと優の目に合わせて言った。
「俺、優のことがすごく好きなんだ。君と一緒にいると、毎日がすごく楽しくて、幸せで。だから、もし、君も俺のことを少しでも好きだと思ってくれるなら、これからもずっと一緒にいたいって、心から思ってる。」
優は涼太の言葉を聞いて、しばらく黙っていた。涼太はその沈黙に少し焦りを感じ、急いで言葉を続けた。
「なんか、変なこと言ったかもしれないけど、でも本当に、優のことが好きなんだ。」
優は涼太をじっと見つめ、しばらくの間、何も言わなかった。その間、涼太の胸はどんどん高鳴り、心臓の音が耳に響くようだった。
そして、ようやく優が口を開いた。
「涼太…私も、涼太のことが好きだよ。」
その言葉を聞いた瞬間、涼太は思わず目を見開き、そして心の中で安堵の息を漏らした。優の目にも涙が浮かんでいて、その表情には本当に嬉しそうな笑顔が広がっていた。
「本当に?」
涼太は少し信じられないように言った。
「うん、本当に。」
優は涼太の目を見つめたまま、ゆっくりと頷いた。
その瞬間、涼太は心からの笑顔を浮かべた。優が自分の気持ちに応えてくれたことが、何よりも嬉しくて、幸せだった。二人の間に流れる時間が、今までよりもずっと温かく、優しく感じられた。
「ありがとう、優。」
涼太は優の手を取って、しっかりと握りしめた。
「これからも、君を大切にしていくよ。」
優はその手をぎゅっと握り返し、にっこりと笑った。
「私も、涼太を大切にするから。」
二人はその後、カフェでの時間をゆっくりと楽しみながら、これから一緒に歩んでいく未来について話し合った。お互いに対する想いが通じ合ったことで、どんな困難も二人で乗り越えていけるような気がした。
外の雨はすっかり止んで、空が少し明るくなっていた。涼太と優は、手を繋いで店を出ると、これから先も二人で歩んでいくことを誓い合っていた。