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11:告白の予感

 涼太は、次の週末にある約束を心の中で何度も繰り返していた。優に告白する日が近づいている。彼女と過ごす時間が増えるにつれて、涼太の心は確実に優に向かっている。けれど、その気持ちを伝えることができるのか、どうしても不安が湧いてくる。


 放課後、涼太はカフェのテーブルに座って、少し早く来てしまった自分を感じていた。今日は優と二人きりで過ごす日だ。涼太はしばらく窓の外を見つめ、深く息をついた。心の中で「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせるが、胸の高鳴りは抑えきれない。


 しばらくすると、優がカフェの扉を開けて入ってきた。涼太はその姿を見て、ふっと息をつく。優は少し照れた様子で歩み寄り、笑顔を浮かべながら席に着いた。


「遅くなってごめんね。」


 優は申し訳なさそうに言ったが、その顔はいつものように明るかった。


 涼太は優を見て、胸の中で思わず微笑んだ。


「大丈夫だよ。気にしないで。」


 優は涼太に向かって微笑みながら、コーヒーを注文する。


「今日は少し、涼太に話しておきたいことがあるの。」


 涼太はその言葉を聞いて、ドキリとした。今、まさに告白をしようとしている自分のタイミングと重なって、心の中で複雑な感情が渦巻いた。


「何か、あったの?」


 涼太は緊張した声で尋ねた。


 優は少し黙ってから、ゆっくりと口を開いた。


「最近、涼太といる時間がすごく楽しくて、私、涼太にすごく感謝してる。でも、前に少し言ったことがあったでしょ、悠斗とのこと…あの時から、私、少しだけ不安で。涼太に迷惑をかけていないかなって。」


 涼太はその言葉を聞いて、胸の中で少しだけ安心した。優が自分に気を使っていることはわかっていたが、今、彼女が正直に自分の気持ちを話してくれていることに、心から嬉しさを感じた。


「迷惑なんて、そんなことないよ。」


 涼太は優の目を見つめて、少し強く言った。


「君がどんなことで悩んでいても、僕は君の味方だし、ずっと支えるつもりだよ。」


 優はその言葉に少し驚いたような顔をして、そしてゆっくりと微笑んだ。


「ありがとう、涼太。涼太がそう言ってくれると、すごく安心する。」


 涼太はその言葉を聞いて、ついに決心を固めた。優に伝えなければならない。自分の気持ちを、今、ちゃんと告げるべきだと。


「優、実は、僕、君に伝えたいことがあるんだ。」


 涼太は真剣な顔で言った。その言葉に、優は少し驚いた様子を見せたが、涼太の目を見ると、優しい瞳が彼を見つめていた。


 涼太は深呼吸をして、言葉を続けた。


「僕は、優のことがすごく好きだ。君と一緒にいると、心が温かくなるし、毎日が楽しくて仕方ない。だから、お願い、僕と付き合ってほしい。」


 優は涼太の言葉に少し驚いたように目を見開いたが、その顔はすぐに柔らかくなり、優しい笑顔が浮かんだ。


「涼太…私も、涼太のことが好きよ。」


 その瞬間、涼太は胸が熱くなるのを感じた。優のその一言が、彼の心をすべて満たしてくれた。涼太は立ち上がり、少し照れくさそうに笑うと、優の手を優しく握った。


「本当に…?ありがとう、優。」


 涼太は嬉しさを噛みしめながら言った。


 優は涼太の手を握り返し、少し照れた顔を見せた。


「うん、本当に。涼太と一緒にいることで、毎日がもっと素敵になった気がする。これからも、一緒に過ごしていきたい。」


 その言葉を聞いて、涼太は心から幸せだと感じた。今までの不安や緊張が一気に解けて、二人の間に流れる空気が穏やかになった。


「じゃあ、これからもずっと一緒にいようね。」


 涼太は優に言った。


 優は笑顔でうなずき、二人の手がしっかりと繋がった。その瞬間、涼太は新たな一歩を踏み出したことを実感していた。


 これから二人でどんな未来を歩んでいけるのか、楽しみで仕方がなかった。

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