ビルの上で The Dunwich Building
雪がちらつくビルの屋上に、裸足の女がいた
冊を超え、女は白く染まった歩道を見下ろす
「は……はは……は……ははは……は…」
息が荒いのか
笑ってるのか
彼女は落ちた
◇◇◇
雪がちらつくビルの屋上に立った裸足の女は
柵を握り、赤い染みができた歩道を見下ろす
「産まれた……はは……産み落とせた……ははは……」
出産直後の
女は笑った
彼女を屋上で産み、その場で歩道に落としたのだ
◇◇◇
女に男性との経験はない
神に純潔を捧げたからだ
女はお告げを受けていた
明けの明星が輝く早朝に
神に性別はないというが
父なる神と称するならば
母なる存在があるはずだ
いまはソレが欠けている
ゆえに悲劇が尽きぬのだ
お前が対なるものを産み
生贄として我らに捧げよ
◇◇◇
女は妊娠した
後に発狂した
◇◇◇
産まれ落ちた彼女は立つ
赤い染みの中で肉を集め
山羊にも似た体を震わせ
屋上に立つ女を見上げた
人と異なる無機質な表情
人と異なる産声を上げる
N'gai, n'gha'ghaa, bugg-shoggog, y'hah; Yog-Sothoth, Yog-Sothoth
裸足の女は果たしたのだ
父なる神に対をなす存在
■■■■を受肉させたのだ
鍵は門に挿さり扉を開く
長い夜が始まりを告げた
P.P.P.P.S.
【「ビルの上で」の詳細・かぐつち・マナぱ さまの新イラストと解釈】
にて本作の詳細説明が書かれています
ぜひ読まれることをおススメします
私の 2024年11月21日 活動報告のイラストの下にあるリンクか
エッセイ「黒い安息の日々」2024年11月22日 の投稿をご覧ください
少し作品の印象が変わるかもしれません