第7話 外の世界
「しっかし、よくできたもんだなあ」
長い通路を進みながら、晴は周りの作りに目を向ける。
「ああ、そうだな」
リオは同じように見渡す。
作ったダンジョンを見ながら入り口へと進む。
光が見えてきた。
「おお!」
「着いたな!」
二人はダンジョンの外へと足を踏み入れた。外の世界の景色が目の前に広がり、青空と緑の大地が鮮やかに映し出されている。
「すごい…本当に外にだ…」
晴は感動し、周囲を見回した。
ダンジョンの中では感じられなかった開放感が彼を包む。
「おい、急に飛び出すなよ。周りを警戒しろ」
リオは少し注意を促す。晴はその言葉にハッとして、周囲を見渡す。
幸い、周囲に人影は見当たらない。
晴は一度深呼吸して、心を落ち着けた。
彼の後ろには、ダンジョンの入り口がぽっかりと開いているが、振り返ることなく、外の広がる世界に目を向けた。
「リオ、ここからはどうする?」
晴が尋ねる。
リオは、目を細めて辺りを観察しながら、冷静に答えた。
「まずは、周囲の安全を確認する。特に人間の村や都市が近い場所だと、早く動かないと目立つからな。すぐに動く必要がある。」
晴は再び周囲を確認した。遠くに小さな森が見えるが、他には大きな建物や人影はない。ここは人里離れた場所らしい。
「よし、今のところ大丈夫そうだな。まずは周囲を探検しようか」
「そうだな」
リオが同意した。
晴とリオは、慎重に周囲を確認しながら森の方へ向かって歩き出した。風が心地よく吹き抜け、自然の匂いが二人の感覚を刺激する。
「外の世界、こんなに広いんだな…」
晴がポツリと呟く。
「そうだな。ダンジョンの中とはまったく違う」
同じく外の世界に興味を抱いているようだった。
二人は周囲に注意を払いながら、ゆっくりと森の中へと進んでいった。木々のざわめきや鳥の鳴き声が心地よく響くが、いつどこから危険が襲ってくるか分からない緊張感が漂う。
「あ!」
晴が突然声を上げる。その声にリオはビクッとする。
「どうした!急に大声を出して!」
「すまん。いや、あのさあ…」
「なんだよ」
「俺って…弱くね?」
「ん?知ってるぞ?」
「ひどくない?!」
「事実だろ」
ぐうの音もでない…
「そういうリオはどんなんだよ!」
強く言った。
「ボク?ボクは強いよ」
「うっそだ~」
冗談交じりにいう。
それに反対するようにリオは首をフリフリする。
「いや、ほんとのことだ」
「またまた~」
しばらく沈黙が続く。
「え?ほんとに?」
「だからほんとだって言ってんだろ」
「そう…か…」
晴は悔しそうな顔をする。
「そんなに疑うんだったら証明してやるよ」
「どうやって」
そう言うと目の前の木々の間から魔物が現れた。
魔物は獣のような姿をしており、鋭い爪と牙が光を反射している。低く唸り声を上げながら、二人に向かってじわじわと接近してくる。
「ちょうどいい」
そう言い、リオは魔物に近づいて行った。
「おいリオ!」
大きさが明らかに違いすぎる。立ち向かうなんて危険だ。
「大丈夫だ」
そう言い放ち、リオは魔物と目を合わせる。
魔物は大きな唸り声をあげながら走ってきた。
「リオ!」