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「いいか、お前らは運がいい。ここいらの魔物は黒の森でも最弱だ。〝冒険者〟といい勝負が出来る程度の雑魚だ」
それから逃げて落ちぶれた一〇〇人。取り敢えずの一〇〇人。死ねば補充される一〇〇人。地獄にしか逃げ場のなかった一〇〇人。
「いま、どんな顔をしてる。隣の奴を見てみろ。そいつが負け犬の顔をしていたら、お前が死ぬ」
――俯くのをやめた一〇〇人。生に餓えた一〇〇人。
「命が欲しいか? ならば、そこにあるそれを掴め」
百九十三の瞳が、覚悟に到った目が私を見返す。どうせなら睨んで欲しいところだが、まあいい。
「掛かれ! 一〇〇人で殺せッ! 復唱ッ!〝家畜に神はいないッ!!〟」
「家畜に神はいないッ!!」
「家畜に神はいないッ!!」
「家畜に神はいないッ!!」
畜生の屈辱を揮え! 必死に這い上がれッ! 連中を皆殺しにしてやれ!




