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「なん……だと……」
言ってみたかっただけだ。悪党が連合を組んで押し寄せてきた光景に対してではない。
「オーエン?」
「おうよ」
打てば響くというやつか。早速に飛び出して行きおった。私は折角だからこの赤い――
ヒトが真っ二つになっているのは、私がそうした時のと意味合いは同じだが、断面がエグい。二つにしたというより、裂いたというのが近い。
身体強化の基本を教えたはずが、また勝手をしたか。あとで教育してやる。
「姐さん?」
血塗れのリカルドが問うてくる。何だ。
「敵の増援が来ましてね。あいつらが煩いんです。慈悲もなくとか、許容もなくとかって叫んで――」
「いいぞ。殺されても死なない程度には〝してある〟。好きにさせろ」
「しかし……」
「あれを見ろ。どうだ?」
血袋が破裂連鎖してる前庭を指して訊いてみる。
「おうふ」
「デカブツが、オーエンが元気にしてる。その後を追うなら問題なかろう」
「何なんですかね、アイツは」
「お前もそこに片足突っ込んでる。私が保証してやる、安心しろ」
「はあ。ま、行ってきますよ」
背中越しにジト目で睨まれたような気がする。いいから、行け。私もこれからだ。




