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「ここだ。お前らはそこで待ってろ」
リカルド――モヒカン副長の名だ――のみを伴って店の扉を開ける。本日は他に三名の手下を従えてきた。荷物持ちであり護衛ではない。
「ここ、は?」
「見た通り、武器屋だ。お前らのなまくらを叩き売って新調してやったぞ」
ドワーフ謹製の逸品に比べれば仕方がないが、それなりの品揃えを誇る店だ。
「売っ……いや姐さん、見かけはアレでもそこそこの――」
「鋳造の安物だろうが。鍛造の黒鋼を見て驚け。――やあ、出来てるか?」
店主であり、ここの筆頭鍛冶師でもあるおっさんに声を掛ける。
「ああ、どっちも自信作だ。持ってってくれ」
革の大袋に入った、二つの山をカウンターにドンと載せて、応える。
「しっかし、こんなもん初めて作ったが、役には立たねえよな」
「それが浪漫ってものよ。こいつを装備した十八人が並んだ姿が楽しみだ」
山の一つは剣のそれに比べて些かにデカい。見てのお楽しみだ。
「重っ。何ですかコレ?」
「いいからクルマに乗せてこい。お披露目は宿に帰ってからだ」
代金は先払い済みだ。おっさんに手を降って店を出る。軽い方を持たせたリカルドの腰が砕けそうになっていて、笑う。
「帰りは走りだ」
スロットルを回す。宿まではそう遠くない。日はまだ高い。お前らの冒険はこれからだ。




