175 Move Along
「ここも落ち着いたし、そろそろ発つとするか」
「爺さんの飯が……!」
「いいですね。そろそろ奴らをブッ殺したいと思ってました」
「久しぶりの助手席、わくわくしてきました!」
辺境領からの先行部隊と、砦&ナッキー&たぬきとの調整も終わり、ここはこのままで暫く回るだろう。私と弟子共も修練にそれなりの成果を上げた。
「そうですか。こちらはお任せ下さい」
「頼む。あ、うちの大喰らいの分、弁当を多めに――」
「用意してあります。今回はピリ辛で攻めてみました」
「お、おう。週に三日は自由にして、この国を堪能するの、忘れないようにな」
「ありがとう存じます」
社外取締役に任じた元執事兼筆頭家老の艶々とした肌色が、獣人国の癒やしの威力を再確認させる。十は若返ってる。
「お嬢! もう行かれるんで?」
「ああ。母さんが来襲する前に逐電する。虎のお兄さんに話は通してあるが、次の大闘技祭までは暴れないように頼むぞ」
「そんな無茶振りを!」
「それを含んでの、優先慰安旅行なんだ。諦めろ」
「孔明の罠!」
「お気づきになりましたかw」
「くっ」
この時のために部隊長を集めたのだ。よい防波堤となっておくれ。
「姐さん、辺境領の彼ら、土気色してましたが……」
「いいんだよ、それで」
さあ行こう、新たな旅路へ!
「……姐さん、これは西ゲートに向かう道ですよ?」
「ああ。最前線だ。そこの益荒男が求めてる覇道を、供にしようではないか!」




