146 梁山泊に行こう!
「さて。この先にヒト族最強の戦士がいる。順番を決めておけよ」
「俺だ! 斧使いが一番に出なくてどうするッ」
「おお、久方ぶりの〝俺テケロ〟! いいぞ、期待しよう。全力でぶっ殺されて来い!」
「なら次は俺だな。獣人国で誂えた戦槌が火を吹くぜッ」
「やっぱデカブツにはハンマーか金棒だよなー。あ、丸太もいいぞ!」
「俺はその、これを――」
「それ手土産! ご挨拶はやめろ!」
「やあ。皆さん、勇往邁進のご様子で――」
「お前もやるんだよ」
「嫌ですよ! 私の貧弱さはご存知でしょう?」
「精神力でどうにかしろ。心の強さで立ち向かえ! 絶望に挑め!」
「そういや姐さんは?」
「私はまず、父に挑むからな。母の前に立てる体力を残せるか……」
「お父上の得物は槍でしたか?」
「そう、あのイカれた次兄に槍術を叩き込んだ豪傑よ」
「しかし最強は――」
「母さんはヒト族である前に木こりだからなぁ」
「別格? 格別? 格段? 就中?」
そうだな。ええと――
「それを全部足して割らないやつ。虎のお兄さんと、死合で名勝負する領域」
「死!」
「ね!」
「る!」
「??」
――喩えが明快に過ぎてしまったようだ。しかし後戻りはならん。行くぞ。逃げるなウォルター。




