135 Tonight Is What It Means to be Young
「あいつ、大丈夫か?」
「問題ない。強い子だからな」
「そいつは間違いねえ。でも姐さん――」
「おっと、そこまでだッ」
「……おう」
いいから、今宵の宴を楽しめ。肉食え、肉。
「そういや忘れてた。セルジュ!」
「何ですか?」
「傷心の喧嘩太郎が鬱憤を晴らしたいそうだ。相手にお前を指名してる」
「お断りしま――」
「駄目だ! 私に借りがあるだろ? ここで払って行け」
「……ちっ」
今のフィオナに頼んだら、私がッ、とか言いそうなので本人を召喚する。流石にリカルドが相手だと重いからな。
「これよりエキシビションを開催します! 挑戦者、入場ッ!」
大喝采を背に受けて、リカルドがリングに上がる。何かいつもより、怖い顔してる。
「では、お嬢様、行って参ります」
「無理はしないで。でも、私、貴方の格好いいとことを見たいわ」
人類最強の従者を目指す男に、火の入った瞬間である。式には呼んでくれよ。
「越えさせて貰う」
「負ける訳にはいかない理由ができました」
「私にも、それは、ある」
銅鑼が喧しく鳴り、戦闘は開始される。
物理に限定した戦闘に於いて、分があるのはセルジュだ。壊れないという特性を、どこで会得したのか判らんが、それを打ち砕けるか。
私はただ、見守るばかりだ。




