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013

「お前、私を見下ろすのを止めろ。不敬であるぞ!」


 ちびっ子第一王子の第一声がそれだった。国王に是が非でもと説得された父に随伴して、婚約者候補とやらに選定された私へ、最初に掛ける言葉としては最悪の部類であろう。


 テンプレのような子豚王子に、腰を屈めて凄んだ様子は、幸いにして傍目にはカーテシーのように見えたのだそうだ。


「――ヒト語を宣うなよ、豚。ブヒブヒと鳴いてお前が跪け。屠殺して出荷するぞ」

 その時の私の眼光がよほど怖ろしかったのだろう王子は、二つも年下である、六歳の小娘の前にて失禁し、侍従に抱えられて退場した。


 この因縁が呆れるほど長く続いたのは、他ならぬ王子のせいだ。思い出しただけでもブッ殺したくなる。それまでは唯一の王子として、次期王太子として、甘々に育てられ、そして取り返しがつかなくなったその頃に、王妃が妊娠したのだ。


 次期国王となる者が、増えた。唯一ではなくなった。それが奴の生存本能をでも刺激したのだろう。王になれなければこの国では二番手以下の雑魚となる。このままでは生き残れない、と。


 ――そして今に至る。中途は省いたが、それはまた今度でいいだろう。もう何と言うか面倒臭い。過去編は取り敢えずここまでだ。

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