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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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文字が示すもの

「…兄さん、この流れでとても言いづらいんですが、ひとつ良いですか?」


 ナナセが申し訳なさそうに言う。


「どうしたんだナナセ、気になることがあるなら何でも言ってくれ。」

「兄さん達が戦っている時に、少し気になって召喚獣を呼び出すときに使っていた銅板を覗き込んでみたんです。あれだけ強力なモンスターを呼び出すことが出来る使役者について、なにかヒントになることがないかなと思って。」

「流石ね、気が利くじゃない。」


 アツコの言う通りそんな所までチェックしているとは…忍者のクラスは伊達じゃないな!!


「ですが、残念ながら私には何もわからなかったんです。」

「どういうことだ?契約の文字が魔法で隠されていたとか?」

「いえ、文字自体はちゃんと確認できたんですが、恥ずかしながら読めなかったんです。」

「読めなかった…ミッドガルドの共通文字とは別の言語で書かれているのね。でもナナセは『言語理解』のスキルを持ってるでしょ?読むことは出来なくてもある程度の内容くらいは推測できたんじゃない?」

「ううん、それが全くわからなかったの。ミッドガルドの文字とは言語形態がまったく違っているんだと思う。一応記憶はしてるから書き起こすことは出来るけど…。」


 ナナセのスキルでも読めない文字…この世界で独自に発展している言語なのか?


 よくゲームの設定として用いられる、失われた古代言語や特定の種族しか読むことの出来ない精霊文字のようなものであれば、今後冒険のなかで信頼できる解読者を見つけなければいけない。

 ただ迂闊に内容が漏れると解読者を危険にさらす可能性があるし、解読を頼んだ相手自体が敵対者であるパターンも考えられる…これは本格的なクエストっぽくなってきたぞ!!


「なっちゃん地面に書いてみてよ、私なら分かるかも。」

「ワカナって文字読めるんだ、新鮮な驚き。」

「ふざけない!!」


 ふざけあうワカナとサヤの横で、ナナセは拾った木の枝で一文字一文字記憶をたどりながら慎重に地面に書き連ねていく。

 その作業は数分で終わり、地面には3行にも及ぶ文章が姿を現す。


「…私達の知ってるどの言語とは似ても似つかない文字。少しは推測がつくかと思ったけど、これじゃお手上げね。アツコはなにか分かる?」

「同意見よ。ただ、これだけ複雑な形をしているということは、これは表音文字ではなく表意文字である可能性が高いわ。そうなると推測して解読もなにもないわね。知ってないと読み解けないわ。」

「ミッドガルドとは文化圏からして違う………どうしたのバカ兄、青い顔して。ひょっとして何か知ってるの?」


 妹達がオレの顔を覗き込み、オレはコクリと頷いた。


 たしかにオレはこの文字を知っている。


 所々形に違いはあるが、それはナナセが完璧な形までは覚えきれていないからだろう…いや、むしろ短期間で自分の知らない文字を覚え、ここまで再現できているのは神業と言っていい。


「兄様、もしご存知なら教えてください。この文字はなんなんですか?」


 オレが小さい頃からずっと目にしてきた文字。


 そうこれは………。


「日本語だ。」

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