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小さな異変

「これからどうするんだ?」


 なにか会話に混ざらないと思い、誰に話すでもなく問いかける。ちなみに言葉遣いはミッドガルドをプレイする時の自分の口調をトレースしている、

 ちょっと偉そうな話し方のような気もするが、妹NPC達にミッドガルドの記憶が残っているのであれば、こちらの方が自然だろう。


「兄様、私がお答えします。」


 オレの言葉をアツコ拾う。


「優先順位の第一は、この世界の住人からの情報収集です。そもそも言葉が通じるのかなどの確認が必要となりますし、この世界はどのような文明レベルなのか、治安はどうか、私達のような異世界の人間が受け入れられる素地があるのかなど、知らなければいけない事は無限にあります。旅人や冒険者の存在が自然な大都市の方が都合が良い面もありますが、私達があまりに無知であることがバレた場合、治安の悪い都市であれば犯罪に巻き込まれる可能性も高くなりますし、そういった意味では異国から来た冒険者が道に迷ったという形で、小さな村落から情報を集めるのも悪くないかと思います。」


 なるほど、確かにそれならこの辺りの事に詳しくなくても…最悪言葉が通じなくてもごまかせるかもしれない。

 こんな大森林の近くにある村であれば、他の村や都市との往来もそこまで大規模ではないだろうし、男1人と美少女5人という珍しすぎるハーレムパーティーに疑念を持たれても、その情報は周りに漏れにくく村で留まる可能性が高い。


「第二はこの世界のレベル帯の確認。」

「レベル帯の確認?」


 ミカヅキのあまりにゲーム的な発言に思わず聞き返す。


「私達はミッドガルドでは強かったけど、この世界でも強者側だとは限らないでしょ。だから村への道中モンスターか何かが出れば、それを狩って相対的な強さを確かめたい。モンスター退治をした証明があれば一見怪しすぎるハーレム構成の私達もすこしは冒険者として認められるでしょうし、獣型のモンスターであれば毛皮でも手土産として持って行けば待遇も良くなるから…まあこれは全部楽観論に基づいてるから、亜人種が混ざってる私達を見ていきなり襲いかかってくる可能性も考慮する必要はあるけど。」

「ドラゴンとか倒せばお金にもなるよね!!目指せエンジェルスレイヤー!!」

「ワカナちゃん、エンジェルスレイヤーだとお友達を倒すことになるけど大丈夫?」


 すかさずナナセがワカナのフォローをする。

 ミッドガルドと変わらず姉妹間の連携は抜群だな。


「あー、うっさいわね、話が逸れるからワカナは黙って!!」


 ミカヅキの一喝にもワカナは全く悪びれる素振りなく「お口チャック~」などと言い顔を突き出しながら口を縫い合わせるポーズをとり、そして頭をはたかれている。

 相変わらず姉妹間の連携は抜群………なのか?


「狩ったモンスターを村人に見せれば概ね戦ったモンスターの強さもわかります。もちろん、こんな辺鄙な位置にある村に兄様に匹敵するような強者がいるとは思えませんが、腕自慢くらいはいるでしょうから。」

「なるほど、村人が驚くような大物を簡単に倒せれば、オレ達のおおよその実力もわかるというわけか…。」

「そういうこと。ナナセのスキル『地獄耳』があれば周囲数キロ程度なら音を拾えるし、村に着く前にモンスターがいれば狩れる。」


 ミカヅキが表情を引き締める。

 たしかにオレ達が強者側の立場である保証はない。この世界の治安レベルもわからない段階では、迂闊なことはしないほうがいいだろう。


「みんな止まって。」


 ナナセが唇に人差し指を当て、聞き耳を立てる。


「どうした、何か聞こえるのか?」

「遠くから馬蹄の音が聞こえます。数は…恐らく10を超えています。金属がぶつかる音もするので、鎧のような物も身につけているかもしれません。」

「金属の鎧を身に着けた騎兵集団…盗賊か?この世界の文明レベルが分からないが、最低でも板金鎧に馬まで持っているとなると傭兵か正規兵の可能性もあるのか…どちらにしても関わらない方が良さそうだな。」


 オレは思わず独り言のように呟き、そのあとわざとらしく咳ばらいをした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 俺の配下tueeeな作品探してたら目に止まりました。続きも楽しませてもらいます!
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