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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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証拠品

「依頼達成の証拠品としては耳でいいのよね?」


 アツコが口を開く。


「ああ、いちいち討伐したモンスターの死体を持って帰るのは不可能だからな。普通は耳か鼻、それがないようなモンスターであれば、他に特徴的な部位だな。」


 なるほど、それならトロールの耳を切らせてもらってそれをギルドに提出すれば当座はしのげるな。でも恭順の意を示している相手にそれは言いづらいというか…。

 やったこと自体は無論悪いことではあるが、理由もあり情状酌量の余地もあるからなぁ。

 ただ自らの行動に対して罪を償うことは必要だ…よし、今度こそオレが口火をきるぞ。


「なら簡単ね、一番巨大なトロールの両耳を切り落としてそれを証拠品として持って行けばいいわ。まさか異存ないわね。」


 アツコはオレが言いたかったことをサラッという。しかもド直球で。


「当然だ。我らは負けた。殺されても文句は言えん。我の耳を差し出そう。」

「それならば俺の耳も持って行け。負けたのは頭目だけではない。」


 トロール達が次々と声をあげる。あっという間に全員が耳を差し出すという結論になってしまった。


 この辺りの潔さ、判断基準の明確さは人間にはないものだろう。


「いや、全員の耳までは必要ない。」


 オレは思わず口を挟む。


「どうしてだ?耳が多ければ多いほど、討伐に成功したって信憑性はあがると思うぜ。」

「それはそうですが、全員分の耳を持って行けば竜のねぐらに住むトロールが…少なくとも戦士として戦うことができるトロールは殲滅されたと判断して、人がこれまで以上に森にはいる可能性があります。それはまずいでしょう。」

「竜のねぐらの奥深くに眠ってるっていう大森林の邪竜にたどり着く人も出てきちゃうかも。」


 サヤがどこか楽し気な口調で茶化す。


「こうしましょう。村を襲ったトロール達を追ったオレ達は待ち受けていたトロールの群れと戦闘になり、なんとか頭目を倒すことには成功した。しかし、トロールの群れ自体はまだまだ健在で、その中には5メートルを超えるような大物もいて竜のねぐらに入ることは危険である。頭目を倒したことでしばらくは大人しくなると思うが、引き続き警戒をする必要がある。これなら筋も通っているし、最低限の脅威を排除しつつ村から追加の討伐依頼が出ることも防げるんじゃないですか。」


 自分で口にしながらもやや苦しい内容なのは否めない。

 しかし、当座はこれでしのげるだろう。


「微妙なところではあるが、他に良いアイデアも思いつかないし、それでいくしかないな。ただ耳は3セットは用意した方がいいぜ。残念ながら冒険者のなかには戦果を水増ししたり、誤魔化したりするやつも多いんだ。耳を一組だけもっていっても、耳だけ斬って逃げたと邪推されかねない。俺も討伐対象が一体だけだった場合は、なるべく頭部ごと持ってくようにしてるしな。」


 ルーフェの言葉に妹達も頷く。この辺りの機微は冒険者として経験が長いルーフェにしかわからないところだ。この世界にきて数日のオレ達は従うしかないだろう。

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