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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
あの日の記憶

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成果発表

「これで全員。予想より早かった」


 ミカヅキは冒険者ギルド内に併設された酒場に集まった姉妹を見渡し、安心したように言う。


「みっちゃん最後なのに偉そうなう。ワカナは1時間前からいたんだからね、先輩には敬意を持つように」


 ワカナはそう言うと薄い胸をこれでもかと張る。


「たいして変わらないでしょ。でも兄様が戻られる前に集まれて良かったわ」


「兄さんご無事でしょうか」


「お兄ちゃんなら大丈夫、それより早く結果発表にうつろうよ」


 サヤが満面の笑みで言う。よほど自信があるのだろうか、余裕綽々といった様子だ。


「じゃあ、僭越ながら私から」


 サヤの言葉を受けナナセがおずおずと手を挙げる。


「はい、じゃあ、なっちゃん。今回受けた依頼と目的、成果を簡潔にお願いします」


「私は薬草の採取を中心に依頼を受けたの」


「薬草採取?お金にならなそうな依頼ね」


「はいはい、あっちゃん静粛に。どうして薬草採取を選んだんですか?5文字でお願いします」


「5文字!?えーと『ひとだすけ』?うん、人助けかな。コプト教団の連続誘拐事件があったでしょ?受付の人に聞いたらあの事件の余波は色々なところにあって、その一つに薬草不足があるらしいの」


「あぁ、誘拐を恐れて薬草採取を生業にしてるような若い女の子が森に入らなくなったのね」


「たしかに手軽に出来るから人気な副業なのに、誘拐の心配しなくちゃいけないなら誰もやらないよね」


「そうなの。そのせいで特に森の奥でしか手に入らないような貴重な薬草が不足していて、神王教会なんかも治癒魔法も依頼で手一杯になってるんだって。結構良い報酬で依頼が出てたんだよ」


「盲点。目の付け所がシャープ」


「私はラグさんの所でこの世界の薬草について色々教えて貰ってたから、いけるかなと思ったら想像以上の大収穫で特別報奨金まで貰えちゃった。採取場所とか採取の仕方、モンスターのいないルートとか、道中の目印をまとめたノートも提出したら凄く喜んでくれたよ。等級も上がるんだって」


「ふむふむ、世のため人のためになったようで何よりなう。それで、報酬はいかほどに?」


「えっと、金貨にすると大体30枚くらいかな。皆に比べるとちょっと控えめかもだけど」


「ワカナには及ばないけどよく頑張ったなう。皆なっちゃんに拍手!!」


 冒険者ギルドという無骨な場所に似つかわしくないパチパチという音が鳴り響く。


「やめなさい、恥ずかしいでしょ!!毎回これやる気!?」


「いいじゃない、酔った勢いで誰かれ構わず絡む輩がいるような場所よ。少しくらいはしゃいでも誰も文句なんて言わないわ」


「そんなわけないでしょ、ただでさえ女だけのパーティーなんてナンパやら酌しろやら、ハエみたいにバカな男が絡んでくるんだから。目立ったらすぐに誰かが………あれ、珍しい。みんな遠巻きに見てるだけじゃない。というか、明らかに私達と目を合わさないようにしてない気がするんだけど………何かあったの??」


 ミカヅキが訝しげに周囲の様子を窺う。

 その視線の先には小動物のように息を潜めながらも、コソコソと会話を盗み聞こうとする冒険者達の姿があった。

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