贈り物
今日はとっても大事な日。クローネと出会って一ヶ月目の記念日。
私は大きなプレゼントを持ってお屋敷を出る。途中使用人の一人と目があったけれど、使用人は私に気づかない振りをした。いいの、そんなのどうでもいい。
誰も私に興味がないのなんて知ってる。心配してないのも、いなくなればいいって思ってるのも。
でも、クローネは違う。クローネには私が必要で、私にはクローネが必要だ。だから、お屋敷中ひっくり返して、クローネが欲しそうな物を探してあげた。きっと気にいってくれるだろうな。
クローネは大荷物の私を見て、ビックリした顔をする。
「どうしたの、それ?」
「ふふっ、じゃーん、これクローネへのプレゼントだよ。お洋服に、お菓子に、お人形に、他にも色々。全部クローネのだよ、嬉しいでしょ」
私は袋を開けて、クローネにひとつひとつ説明してあげる。
クローネは私が広げたプレゼントをみて目を丸くする。きっと見たこともない物も多いし、ビックリしてるんだろうな。
「………要らない」
「どうして?遠慮しなくていいよ。村の子達にもたまにあげるし、お屋敷には幾らでもあるから気にしないで」
「ダメ、貰ったら友達じゃなくなっちゃう」
クローネが俯きながら言う。
「なんで?別にたいした物じゃないよ。クローネの服ボロボロだし、新しい方がいいに決まってるじゃない。本当に気にする必要なんてないよ、私があげたいからあげてるだけ」
そう、別に高価な物でもなんでもない、お屋敷なら幾らでもある物を少しあげるだけ。前に村の子達にあげたら、喜んで受け取った。こんな物になんでそんなに目を輝かせるかは分からなかったけど、みんな喜んでくれた。
しばらくしたら、すぐに色々ねだるようになったから、嫌になってもう二度と遊ばなくなったけど、クローネはそんなこと言わないし、大丈夫。
それに私の友達がみすぼらしい格好をしているのは可哀想だし、一緒にいるのがちょっと恥ずかしい。クローネにとっても良いことなんだから、素直に受け取ればいいのに。
「やだ、アタシは要らない。そんなの要らない」
「なんで?クローネには何もないじゃない。家だってないし、毎日うさぎ食べるのだって飽きちゃうでしょ?そうだ、これから毎日私がご飯持ってきてあげるよ。パンが良い?お菓子が良い?お肉料理ちょっと持ってくるのが大変だけど、ハムとかだったら幾らでも持ってこれるから。そうすれば大変な狩りなんてしなくていいし、ずっと遊んでられるよ………そっか、クローネがお屋敷に住めばいいんだ。ほらっ、前に天蓋付きのベッドの話をした時、羨ましそうな顔してたじゃない。私が言えば幾らでも寝られるよ。寒くないし、毎日美味しいもの食べられるんだから」
そうだ、こんな簡単なことなんで気づかなかったんだろう。クローネが必要なもの位なら私はなんだってあげられる。苦労して森で暮らす必要なんて何もない。森は遠いし、暗いし、怖い。遊びに行くのは楽しいけど、森で寝泊まりするなんて1日で十分だもの。




