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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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野営、そして…

「ギルドの依頼内容に間違いがあるのは珍しいことじゃないんですか?」


 ルーフェの反応から返答は概ね予測がつくが、念のため確認してみる。


「間違いがない方が珍しいくらいだ。ギルドに出来ることっていえば、依頼人からの聞き取りか、他の依頼と整合性を取るってのが精々だからあまり責められないがな。ちなみにあんた達であれば問題ないだろうが、依頼ランクの間違えってやつもしょっちゅうだぜ。数匹のゴブリンのねぐらを潰すって依頼だったのが、最終的にはエルダーリッチやオーガまで加わった邪教の大軍勢と戦うハメになったって笑い話がある位だ。この例で言うと、白磁級の依頼だったのが竜燐級のクエストにまで一気にランクアップだな。最初に受けたペーペーは運良く逃げおおせたらしいが、肝を冷やしただろうぜ。」

「仕方ない事とは言っても酷い…冒険者にとってはたまったものではないですね。」


 冒険者と言えば聞こえは良いが、実態は現実世界における多重派遣の日雇い労働者と同じで、上からすれば使い勝手のよい駒扱いなんだろう。同じ労働者として身につまされる問題だ。


 オレ達は教えてくれた村人に礼を言い、トロールの足跡を追う。


 襲撃から日にちが経っているため、ほとんどが雨で覆い流されているが、玄人のルーフェや探知能力の高いサヤは問題なく追えているようだ。

 森に入り数時間歩くとすっかり日が落ち、僅かに差し込んでいた日の光もなくなり辺りは闇に覆われた。


「ようやく開けた場所が見つかったな。今日はこの辺りで野宿と洒落込むとするか。お嬢さん方もそれで問題ないか?」


 明らかに聞くタイミングが遅いだろとツッコミたくなるが、最初から断られることは想定していないのだろう。


 森での野宿が嫌だからと町に帰るような人間は、少なくとも冒険者に向いていない。

 妹達も当然といった様子で野宿の準備を始める。本来であればドラゴンであるアツコやリリムであるサヤは食事の必要がないのだが、人間社会に馴染むため、また何より食べるのが好きという設定のため、それぞれが自分で持ち歩いている食糧を取り出す。


 ちなみにオレ達の食糧はダグさんに用意して貰ったものだ。何から何まで本当にお世話になりっぱなしだな。当人達は命の恩人だからと一切気にする素振りはないが、今度改めてお礼をしないと。


「こんなところで野宿したらトロールに見つかっちゃいそうですね。」


 サヤが小首をかしげる。

 指先は頬に添えられ、唇を軽くとがらせている姿はたまらなく可愛い。

 もうホントに超可愛い。


 こういった細かな仕草まで他人に見られていることを意識しているというか、流石男を誘惑することに長けているリリムという感じなんだが、ネタがわかっていても可愛いものは可愛いんだよな。


「なにボケっとしてるの手伝いなさい。」


 オレはミカヅキに頭をはたかれ、遅ればせながら野宿の準備を手伝う。


 陰キャの塊のような性格のため、キャンプといったアウトドアな趣味を持ち合わせていないオレは、なんとなく作業している雰囲気を出しつつ見よう見まねで誤魔化しにかかる。こういうイベントって出来ない子を炙り出す踏み絵みたいで辛いんだよな…。

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