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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
あの日の記憶

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敵襲

「止まってください」


 先を行くクローネが手を挙げ、身を隠すよう合図を送る。


「まさか毒竜が?」


 足音を殺しクローネの元まで近づき質問する。


「あっ、やめっ………これは人狼に近しい人間しか知らないと思いますが、人狼は聴覚や嗅覚に優れている反面、耳や鼻の神経が過敏なのです。小声であっても聞こえますので、次回からは十分に距離をとってから話すことをお勧めします」


 クローネが少し怒ったような口調で言う。


「すいません………それで、何があったんですか?」

「不可思議な匂いがするのです。人と獣が入り混じったような………亜人に近いけれど、亜人とは異なる違和感のある匂いが。この辺りには最早亜人は住んでいないはずなのですが………」


 亜人と似て非なる匂い?

 もしかして、ミカヅキの言っていた………


「足音も呼吸音も聞こえません、まるで霧に包まれているような………今すぐこの場を離れてください!!囲まれています!!」


 クローネが叫ぶと同時に茂みから数体の亜人が飛び出し、こちらめがけ一直線に襲い来る。

 魔法で………いや、この距離ではクローネさんを巻き込む。


「クッ!!」


 亜人の一人がクローネに向かいその鋭い爪を振り下ろす。クローネはすんでのところで後ろに跳ね退きその一撃をかわすが、すぐさまもう一人の亜人が距離を詰め、猟師が投網を絞るように逃げ道を潰し追い詰めていく。


「大丈夫ですか!?」

「問題ありません、多少の武術の心得はあります。人狼の姿になる隙は与えてくれそうにありませんが」


 クローネはそう言うと、スカートをたくし上げ、太腿の外側にベルトで括りつけてある警棒のような物を手にし、何かを呟いた。すると棒は激しい輝きと共に瞬時にしてハルバードへと姿を変え、丸腰だと油断し距離を詰めていた亜人達は横なぎにされる。

 流石は王女付の侍女だ。咄嗟に主人を守ることが出来るよう、魔法の武具の扱いに長じているわけか。


「これで終わり………というわけにはいかないですね。この姿では自分の身を守るので手一杯です。残りの敵は頼みます」


 オレの周囲を亜人がぐるりと取り囲む。数は6か、大人気だな。遠巻きに様子を見ているのは本能でレベル差を察知しているのか?

 実力をアピールするためにもカッコよく一撃で決めたいところだが、妹達と違ってどんな低位の魔法であってもクローネさんに掠れば即死は免れない。

 となると、ここは拳で語り合うしかないな!!


「来い!!」


 オレがなんとなく勢いでマントを脱ぎ捨てると、それを合図にしたかのように亜人たちが一斉に襲い掛かってくる。


 いや、多い多い、近い近いって!!

 くそっ、とりあえず杖を振り回せば………って、アレ??

 オレの渾身の一撃が空を切る。おかしいな、もう一度。


「喰らえ!!」


 ブンッと杖が唸りを上げ………そして虚空を泳いだ。

 なんでだ!?


「真面目にやってくださると嬉しいです。アタシの方は余裕がないのでっ!!」


 クローネはそう言いつつも、身の丈ほどもあるハルバードを器用に振り回し、二体の亜人を近づけない。


「いや、これでも結構真面目に………うぉっ!!」


 よそ見をしたオレの懐に敵が入り込み、そのまま腹部に爪を突き立て、思いきり引き裂く!!


「イツキ様!!」

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