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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
あの日の記憶

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同じ言葉

「お待ちください、お父様!!彼がそう推測したのにも一理あります。興行主であるグランファレ商会は事実上兄上の傘下であることは民草に至るまで知るところ。グランファレ商会が取り仕切る興行において、兄上に助命を懇願するのはむしろ兄上の威光を肌で感じ取ったからに相違ありません。また、現場で剣闘試合を差配していた新たな商会長は度々兄上が座る貴賓席に視線を送り、指示を仰いでいました。それを以て、兄上の命によるものだと誤認しても無理はないでしょう」


「フハハハハハッ、馬脚を露したのは一人だけではないようだな!!なるほど、なるほど、そういうカラクリか。リーゼ、お前は次期国王の地位を欲するあまり、一芝居うったわけか。俺が与り知らぬ興行において、人気取りのために体を張ったかと思えば、返す刀でこの騒動。父上の俺への信頼を失墜させ、自らが玉座につかんという謀略か。クハハハハハッ、世の中の善なるものはすべて自分に付き従っているとでも言わんばかりの傲慢さを持つお前が、こうまで悪辣な計画を思いつくとは玉座の魔力とは恐ろしいな。おかしいとは思ったのだ。このような野良犬が魔物共を次々となぎ倒し、果てには手配書が回っているにも関わらず易々と王都に潜入し、こうして王の前にまでまかり出ている。誰かが裏で糸をひいていなければ出来ない芸当だ。どこで拾った役者か知らんが、当てが外れたな。お前が受け取るのは金銀ではなく、死のみだ!!!」


 ネロが血走った目でまくし立て、それに対し王女が抗弁している。どうしてだろう、二人の口論がどこか遠い世界の出来事であるかのように感じる。

 オレにとって大事なこと、オレにとって正しいこと、オレが言うべきこと………そうだ、オレはこのことを王に伝えたいと思っていたんだ。例えどのような処罰が下されてもいい、これだけは言わなければならなかったんだ。


「国王陛下」


 自然と言葉が口から溢れる。


「二人とも言い争いを止めよ」


 王が二人の発言を遮り、再び静寂が場を支配する。


「旅の御仁よ、私は王とは国家の第一の臣下でなければならぬと考えている。王であっても、国法を曲げることは許されぬ。それを理解したうえで、言葉を選ぶがよかろう」


「お気遣い感謝します。しかし、私の言葉は変わりません。この行動に叛意はありません、けれど為政者がその権力を以て自らの欲求を満たすため人を害するのであれば、私は何度でも親指を突き立てるでしょう。あの日、クアンドロス公がとった行動は誤っていました、私はそれを止めたかったのです。そして、もし今目の前で同じことが起きたとしたならば、例え待ち受けるものが死罪であったとしても、私は何度でも同じことをするでしょう」


「貴様っ、言わせておけば!!」


「口を閉ざせ、ネロ!!お前の発言は許可していない!!旅の御仁よ、もう一度問う、今の言葉を変える気はないというのだな」


「はい」


 オレはもう一度跪き、頭を下げた。

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