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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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トロール討伐開始!!

 冒険者ギルドで登録を済ませたオレ達は、ルーフェが受けた依頼に協力するべく、共にトロール討伐のため竜のねぐらに向かっている。


 一口に竜のねぐらとはいっても横断には数日かかるほどの大森林であるため、今回の依頼先はオークの村とはかなり離れた場所に位置している。

 オレ達もルーフェもエロ垂れ目の領内で動き回ることはできないため当然ではあるが、ナナセやワカナと物理的に距離が離れてしまうのは少し心配でもある。


 まあ、ナナセがついているから大丈夫か。


 しかし、こういった討伐イベントが始まると『ザ・異世界』って感じだな!!


 現代日本に生まれると中々お目にかかることのできない広大な草原。そこに巣くうモンスター達。そして依頼をうけモンスターを狩る冒険者。

 クエストが終わればギルドで酒を酌み交わしつつ互いに武勇伝を語り合い、次なるクエストへの英気を養う。


 まさに憧れていた冒険者ライフそのものだ。


 大手ファミレスチェーン店長として発注・採用・売上計画の策定・果てはキッチンやホールなどの現場作業に至るまで馬車馬のように働いたうえで、アルバイトの子が空けたシフトに急遽入ったり、バイト同士のいじめ問題の仲裁をしたり、エリマネから叱責されたり、かと思ったらさらに上から詰められているエリマネの愚痴を聞いたり、とかく自由といったフレーズからかけ離れた生活をしていたオレにとって、解放感あふれる異世界ライフはまぶしすぎる。


 異世界にはノルマも残業もない!!

 それだけでオレのテンションが上がるには十分すぎるくらいだ。


 それにオレには妹達がいる。


 5人ともキャラ設定から容姿、服装、声に至るまでオレが数ヶ月にわたり考えに考え抜き作成した、愛してやまないNPCだ。

 その妹達と今こうして実際に共に同じ空気を吸い、同じ世界で旅をしている。


 いくら出来が素晴らしいとは言ってもAIと味気ないロールプレイを繰り返していた日々を思い返すと、同じ空間で血の通った会話ができるということが奇跡にすら感じる。


「さっきから何ニヤニヤしてんのよ、気持ち悪い。これから冒険者として名を成そうっていうんだから、表情から態度に至るまでキリっとしなさい。」


 妹達を見つめながら優しく微笑んでいたつもりが、いつの間にか不審者通報寸前スマイルになっていたようだ…反省しなければ。


 しかし、これだけの美少女達を前にして、にやつくなという方が無理がある。


 それにキャラクリエイトの時点ではそこまで露骨なエロ要素を入れないよう、最低限の節度をもって衣装を作成(とはいってもキーワードを入力するとAIがそれに応じた衣装をランダムで作成してくれるので、それを選んでブラッシュアップしただけ)していたのだが、こうして改めて目の前でみると目のやり場に困るというか、現実の日本社会の女性と比べ露出度が段違いだ。


 足が出ているのはともかく、無駄にヘソが見えるデザインだったり、なぜか脇が見えていたり、やたらとスリットが入っていたり、身体のラインが強調されるデザインだったりと、これがオレの好みだったのかとまざまざと気づかされる。

 しかし、種族が異なるラグさんやダぐさんはともかく、ルーフェを始めとしたこの世界の住人は妹達の服装をそれほど気に留めていないことから、『異世界は露出に寛容』という結論を導きだせるだろう。(多分)


 まあフルダイブ型MMORPGに限らず、ゲームでは露出狂かと思うようなカッコがデフォルトだったりするからな。そう考えるとだいぶ大人しいデザインだと言えるだろう…まあそういう事にしよう。


 またルーフェから聞いたところによると、どうやらこの世界には始祖なる神の御代から続く共通言語なるものが存在するようで、知性の問題で会話が通じない種族は別として、言葉を交わせる種族同士であれば概ねコミュニケーションに困ることはないようだ。


 オレ達の設定ともなっている『遠い国からやってきた冒険者』ともルーフェは何度かチームを組んだことはあるらしいのだが、細かい慣習や食の嗜好、信じている神の違いこそあれ、言語は若干訛があって聞き取りづらい程度の認識であったというから、言語といえば外国人客の注文をなんとなく理解するので精一杯なレベルのオレにとっては、非常に有難い世界といえる。


 新しい言葉を一から覚えるとかなったら、その時点で詰んでもおかしくない難易度だからな。

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