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共闘の誓い

「オリハルコンと竜鱗は?」


 そんな強者にミカヅキはずけずけと質問をする。


「オリハルコンなら十万人に一人、竜鱗は百万…いや一千万人に一人ってレベルだな。特に竜鱗なんて国によっては現役冒険者では一人もいないって事もあるらしいぜ。そこまで来ると国のお偉いさんから教皇庁にまで顔が効く別世界の人間って感じだ。人にヘコヘコしないで良い立場は羨ましいぜ。」

「なるほど、わかったわ。貴方と闘って勝てるようであれば、少なくともどの国でも通用する実力ということね。」


 アツコがサラッととんでもないことを言う。

 どこか煽るような口調だ…せっかく良い調子で会話ができているのに、そういう怖いことするのやめてくれ!!


「物差し代わりにされるのは心外だが、考え方としては間違ってないだろうな。」


 アツコとルーフェの間に僅かにピリついた空気が流れる…なんとか空気を変えなければ。


「冒険者さんのお仕事ってどんな物があるんですか?私は闘うのとか怖いから、お使いとか薬草の採取とかそういうのが良いんです。あ、あと遺跡探検みたいなこともしたいかも。」


 雰囲気を敏感に察知したのかサヤが明るい話題に切り替える。よく出来た妹だ。


「ああ、残念ながらお嬢ちゃんの期待するような仕事はほとんどないな。ランクによって受けられる仕事も違うこともあって、最初のうちに出来る依頼といえばどぶさらいみたいな泥臭い案件ばっかだ。田舎町の近くに住みついたゴブリンの討伐に、町の下水道の大ネズミ退治やスライムの駆除。毛皮を集めるための狼狩りに、果ては街道整備のための草刈りまでいわゆる雑用ばかりだな。」

「えぇ、なんか夢がないですね、ちょっとガッカリです。依頼料も安そうですね。」

「毎日依頼をこなしても食うだけで精一杯って所だな。しかし、あんた達は装備を見る限り金には困ってないだろう。」


 ルーフェは身体を起こし、オレ達の身なりを確かめながら言った。

 たしかにオレ達一行の武具や服はすべてミッドガルド製で、ゲーム内におけるほぼ最高ランクの逸品で固められている。


 ミッドガルドの武器や防具、装飾品は下から『ノーマル』『レア』『スーパーレア』『英雄遺物』『聖遺物』『神王遺物』そしてミッドガルド全体でもまだ百に満たない程度しか実装されていない『始祖遺物』に分類されているが、パーティーの装備品をすべて『聖遺物』以上で固めているパーティーはミッドガルド広しといえどもウチくらいではないだろうか。


 目立たない物を選んで着替えてはいるものの、少なくとも金に困っているようには見えないだろう。


「旅の途中で手に入れた武具や装飾品はあるんですが、この国で使える通貨の持ち合わせがなくて困っているんです。所持品は兄妹で旅してきた思い出の品なので売るつもりはないですし…。」


 オレは咄嗟に言い訳をする。

 やはりというか冒険者として生計を立てるにしても、しばらくはまともな所に泊まるどころではないな。


 冒険者ランクがあがって軌道に乗るまではラグさんの家に厄介になるしか無さそうだ…毎回狼でも手土産いすれば村のオーク達の心証も良くなるだろうか。


「なるほどな…そうだ、こうしよう。あんた達、俺と一緒に仕事をしてみる気はないか?オレも冒険者に戻ったばかりで勝手を思い出すまで誰かと組もうかと思ってたところだ。ちょっと古い知識だが俺のノウハウも教えられるし、俺がいればミスリル級の依頼まで受けられる。悪い話じゃないと思うぜ。」

「…たしかに悪い話ではないですね。アツコはどう思う?」

「兄様がよいのでしたら、私は是非もありません。」

「下水道に入るの嫌だし、上のランクの依頼の方が楽しそうだから私は賛成だよ。」

「私も一回限りなら問題ない。」

「それじゃ決まりだな。ルーフェさんよろしくお願いします。」

「とびっきりの美人との冒険、心が躍るねぇ!!それじゃよろしく頼むぜ、兄さん。」


 こうして急造のチームを作ったオレ達は、この世界での最初のクエストに挑むこととなった。

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