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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
もう一人の転生者

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推理バトルは突然に

「はあっ?ワカナ、なに言ってるの」


「なっちゃんが探しちゃうとすぐ見つかっちゃうからダメ~。なっちゃん以外本気でワカナを心配してない気がする。ワカナのことが好きなら、なっちゃん抜きでワカナを探して。ワカナを助けに来て」


 ワカナが面倒なこと言い出したな。


「ふきだよ、すきふき~、はやくはへってきて~」


「わはひも~」


 サヤとアツコが食べながら煽る。

 うん、ちょっと黙っててもらっていいかな、話がこじれるから。確かにサヤに秘蔵のフィナンシェ美味しいし、口一杯に頬張ってるせいでオレもすぐには喋れないんだけどさ。


「ホントに好き?」


 ワカナはワカナでなんかメンヘラ彼女みたいなこと言い出したな。


 これ選択肢あるようでない奴だ。多分何言ってもバッドエンド確定なやつ。この言葉が口から出てる時点で彼氏側が詰んでるタイプの罠質問だ。オレ詳しいんだよな、女心とか。ギャルゲー相当やりこんでたからさ。ギャルゲーは乙女心の教科書だからな。

 ここはギャルゲーマスターであるオレがワカナの心を一言で解きほぐしてやろう。ここで最適な選択肢は…


「決まってるだろ、皆ワカナを大事に思ってふぞ」


 噛んだ。大事なところで噛んだ。致命的に噛んだ。


 ミカヅキがすっごい睨んでくるけど、口にフィナンシェが残ってたんだよ。オレというよりフィナンシェ側の問題なんだよ。選択肢としては完璧だったはず………はい、申し訳ありませんでした、オレが悪かったです。


「探して、早く探して」


 ダメだ、ワカナが完璧に拗ねた。


「ヒント、せめてヒントはないの?」


「え~、どうしよっかな~、知りたい?」


 すっごい面倒な感じになってきたな。

 でもミカヅキが電話口で半分キレながらも、平静を装いつつクレーム対応するオペレーターみたいでちょっと面白いな。


「じゃあね~、1個だけヒントあげるね。ファーストヒントは馬車。たまに馬の鳴き声するし、ラグさん達と乗った馬車と同じくらい揺れる~。じゃあ、ワカナは寝るから起きるまでに助けに来てね」


 ワカナがそう言うとメッセージは途切れた。


 馬車か、ヒントとしてはだいぶ弱いな。

 主要道を外れたとは行っても、王都に続く道ということでオレ達が通ってきた道も必ずしも往来が少ないわけではなかった。舗装されていない路には馬車の轍がクッキリと刻まれていたし、一台一台幌をめくって調べるわけにもいかないから簡単には………いや、逆に考えると轍が刻まれてるということは、轍から外れた地点の特定がしやすいともいえる。


 夕方までの雨で轍や足跡も残りやすくなってるし、さっきオレ達がホタルを探しに進んだ方向には夜中馬車が通った様子がなかったことを考えると、かなり方向は絞り込めるはずだ。


 ふふっ、名探偵イツキの出番のようだな。

 ワカナ、挑戦状は受け取った!!この名探偵イツキが必ずお前の居場所を突き止めてみせる!!


「バカ兄、なにブツブツ言ってるの、早く探しに行く!!」


 ミカヅキはもう少しゆっくりしようというサヤの主張を抑え、宿を出立する準備を整える。


 一難去ってまた一難か。

 あまりここで時間を費やすと追手の手が迫ってくる。可及的速やかにワカナを救い出し、誘拐犯を冒険者ギルドに引き渡そう。


 オレは口に残るフィナンシェを紅茶で流し込みながら、決意を新たにした。

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