異名決め開始!!
「でも、自分で名乗る異名ってやっぱりおかしいでしょ。私は嫌」
「いいの、ミカちゃん。異名なんて大抵見た目で決まるんだよ。例えば私達のパーティーだと………」
サヤはそう言ってミカヅキと共にアツコに視線を向ける。
そうだな、ウチのパーティーではやはり一番にアツコに目が行くだろう。派手な顔の超美人なうえにスタイルも抜群で、この世界でもどの町に行っても人々の視線を集めている。あとニーハイだしな。ニーハイは強いよな、うん。
ただサヤもミカヅキも視線が上のほうというか、アツコの頭の辺りに集中しているような気がするのは何故だろうか。身長が高いとは言っても、平均的な男性位の身長だし、髪の色もピンクのカチューシャが良く似合う明るい茶髪でそこまでレアというわけでもない。
男のオレでは気づけない、女性を釘付けにする要素でもあるんだろうか。
「ちなみにオレ達のパーティーだとどんな………」
「確かに異名は決めたほうがいい、今すぐ決めるべき、余計な異名を付けられる前に、一刻も早く」
ミカヅキがオレの発言に喰い気味に言葉を被せる。
乗り気じゃなかったミカヅキも異名の重要性に気づいたみたいだな、これで全会一致で異名決めが出来るわけだ、楽しくなってきたぞ。
「それでは、テーマについてコンセンサスが取れたので、アーリーでビビッドでクリアランスなディスカッションをお願いします」
ワカナがルー語で会議の開会を告げる。なんか1、2個謎な単語があったがそれは放っておいて、異名は何がいいだろうか。
兄妹全員に関連するようなネーミングが理想だな。かといって特徴を一個ずつ挙げて悪魔合体するような命名方法は合体事故が起きやすいし、異名はなるべくシンプルで分かりやすいものは良いというのも鉄則だろう。
その辺りのバランスを見極めつつ、素晴らしいアイデアを出してリーダーとして、兄としての威厳を示さなければならないな。
「はいっ」
声と共にアツコがピンと手を挙げる。
挙手制なんだ。あとフリップ有の大喜利形式なんだ。
「はい、あっちゃん元気がいいですね、1点プラスで。それでは、回答者が話し出す前にワカナが『この異名を選んだ理由は?』と質問するので、一言二言で理由を答えてください。理由の説明が終わったら『では考えた異名を教えてください』というので、タイミングよくフリップを掲げて『私が考えた異名は〇〇です』と元気よく回答お願いします」
あっ、想像以上にコテコテの大喜利形式きたな。緊張するな。
あとやたらワカナの進行が流暢だな。名司会だな。
「この異名を選んだ理由は?」
「私達もパーティーのリーダーは兄様です。なので兄様の名前や特徴と私達の関係性を上手く盛り込んだ異名にしました」
「では考えた異名を教えてください」
「私が考えた異名は『木の温もりを感じる我が家』です」
「マイホームのキャッチコピーか!!」
アツコがフリップを掲げるや否やミカヅキが即突っ込む。流石だな、突っ込む隙を見逃さないな、ミカヅキは。




