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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
竜のねぐら

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今日も今日とて反省会

 はい、役立たずなオレです。


 昨日に引き続き、今日もラグさんの家で反省会をしています。

 個人的には前半50点、後半100点な立ち回りだと思っていたのですが、ミカヅキ先生によるとダメダメだったらしく、先程からお説教を受けています。


「なんなのアレ!?エロ垂れ目に言い負かされたと思ったら、闇属性の足止め魔法に、安っぽい英雄譚に出てくるレベルの安っぽい魔王演出…極めつけは無駄に安っぽいコウモリ飛ばすって、どういうセンスがあればあんなわけの分からないこと出来るの!!」

「ミカヅキちゃん落ち着いて。皆無事だったんだし、今日のところは怪我無く戻ってこれたことを祝いしましょう。」

「そーだよー、とりあえずコレでも食べて落ち着いて。」

「狼肉でしょ、これ!!分かるのよ、食べる前から臭いから!!」


 こんな感じでさっきから怒られてるわけで…ちなみにワカナは我慢できずスパイスや下処理なしで狼肉を少し焼いてもらったものの、一口食べてからは人に勧めてばかりなわけで…狼肉じゃお酒が進まないわけで…でも罰として食べる係に任命されているわけで…口の中がオオカミパラダイスなわけで…。


「ミカヅキちゃんはそういうけどね、私は皆のおかげで助かったわ。2日続けて命を救われるなんて本当になんてお礼を言っていいか。まあ3度目はないと助かるけどね。」


 ラグさんはそう言って笑っている。


『二度あることは三度あるって言いますしね』


 という言葉が喉元まで出かかったが、酒と共に飲み込むことに成功した。


「でも、敵の人たちが全員逃げるまで時間かかって大変だった〜。なんかただ逃げるのを眺めてるの可哀想だなと思って、ダークネスバインド外してあげようとしたら怯えちゃって余計に遅くなるし。お馬さんも足折ったり怪我が多かったから、治癒するの超時間かかったんだよ〜。」

「バカ兄のせいよ!!実力差を見せつけて逃げるやつよう仕向けてるのに、なんで捕縛するような魔法使うの!?ワカナは気にならなかったかもしれないけど、私は間が持たなくて大変だったの!!」


 たしかにミカヅキはダークネスバインドで身動きが取れなくなった兵士に最初は『これに懲りたら二度とこない事ね~』『今日生きて帰ることが出来るのは奇跡だと思いなさい~』などと言っていたものの、あまりに相手が脱出に時間がかかっためそのうち気まずくなってきたのか、無駄にウロウロしては似たようなセリフを繰り返していたなぁ…ミカヅキも苦労してたと思うとちょっと面白いが、ここは神妙な面持ちで反省している感を演出する。


「反省してまふ…ゲフッ。」


 謝罪の心とともに炭酸が口から溢れ、次の瞬間ミカヅキの魔導書の角が頭頂部に振り下ろされていた。


 痛い…。


 オレは攻撃魔法は最大火力の物ばかりのロマンビルドだから、お手軽に使える魔法があれ位しかなかったんだよ、という言い訳をするとこじれそうなので今はやめておこう。

 ファミレス店長歴16年の経験から、正論で責めるタイプな相手にはただひたすら謝るのが最良、という切ない結論を導き出したのだ。

 それにエリアの店長全員を集めた中での勉強会という名の吊上げ会議に比べれば、ミカヅキの説教はそよ風に等しい。

 むしろこんな美少女に叱ってもらえるなんて、ご褒美まである。


「兄様の演出のおかげで相手が戦意を失ったのは確かよ。ダークネスバインドだって恐怖を煽る意味では成功しているわ。普通捕まえて動けない状態にしたら殺されるところ、わざわざ逃されている意味不明さが余計に混乱と恐怖を生むのよ。兄様の慧眼よ。兄様が一番活躍したわ。」


 アツコの熱いフォロー。


 でも優しくされるとかえって泣きたくなる、今日はそんな気分。


 なんかサラッと意味不明とかディスられてる気もするけど。


「…まあ、あのエロ垂れ目もこれで実力差は分かったでしょ。流石にもう来ないはず。」

「ボコボコだったもんね、ワカナも50人は倒したよ!!はい、次の方~って感じで。垂れ目の人も最後ナナセちゃんに恫喝されて、大声あげながら逃げてたし。」

「恫喝!?私的には穏便にすませようとしたんだけど…。耳を届けてあげたのだって、地面に落としたまま忘れてたからで、怖がらせる気なんて無かったんだけど…変だったかな?」

「そういうのサラッとやられると普通の人間は怖いんだよ。」


 サヤが笑いながら言う。

 ナナセは文句なしに優しいんだが、優しさが一周してどことなくサイコパス味があるんだよな。


「私は隠れてたから分からなかったけど、その軍隊ってひょっとしてこの村を襲うつもりだったのかしら。」


 ラグさんが不安げな声を出す。


「あんな大軍勢を動かしてまで、森の奥の小さな村を襲うなんてメリットのないことわざわざしないとは思うけど、あの性格ならやりかねない。柵を引き倒すための鍵爪とかロープを持ってる兵士がいたし、軽装の魔法詠唱者の姿もあった。大きな砦や城を攻めるならあんな装備じゃ話にならないし、そういう気がないなら準備する必要もないものだから、ここを攻める気だったかどうかはともかく、どこかの村を襲ってた可能性は高い。」


 ミカヅキが答える。


 たしかに攻城戦をするにはあまりにお粗末な装備だったが、かといって単純な戦いには余計な持ち物も多く見られた。機動力重視の騎兵に不必要な物を持たせる意味がないし、どこかで使うつもりだったんだろう。そして行軍進路や前日の行動から鑑みるに、ターゲットはこの村だったと思われる。


「やっぱりそうなの…教えてくれてありがとう。それに村も救ってくれて。明日このことを村長に話してみるわ。しばらくは来ないと思うけど、用心にこしたことはないものね。それにこの辺りには他の亜人も住んでるから、なにか伝えられる手段がないか考えてみる。」


 ラグさんはそう言うと、ダグさんと子供達が畑で芋の収穫をしているからと席を外した。

 そういえば昨日からジャガイモ料理が多かったが、この世界ではそういった現実世界の食材も普通に流通しているようだ。大手ファミレスチェーン店長の血が騒ぐ。

 この世界でファミレス作れないかな?いやあんなもの人を不幸にするだけだし、作らない方がいいのかもしれない…。

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