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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
王女と人狼

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大逆転

「なんで誰とも繋がらないの!!」


 ミカヅキは何度目かの愚痴をこぼす。

 なんというか、妹ではあっても女性が目に見えて不機嫌だと、こう肩身が狭いというか、なんでもいいからジュースとか買って機嫌を取りたくなるのは異世界で同じだな。パッシブスキルで泰然自若とかそういうの発動して欲しいな、小市民にはガバガバ異世界環境が胃に悪すぎる。


 それにしてもミカヅキが言うようにアツコもサヤもメッセージが一切繋がらない。メッセージは基本どのような状態であっても、着信があったという事だけは分かる仕様になっているので、気づいていないわけではないと思うんだが、立て込んでいるのだろうか。


「だーれだっ!!」


 そんな事を考えていると、突如視界が暗闇に覆われる。柔らかな手の感触が顔に当たり、そこはかとなく良い香りがする。


「ワカナ、どこ行ってたの」

「お散歩だよ、美味しかった」


 ワカナがオレの顔から手を外し、笑顔で胸を張る。どうやら奢って貰おう大作戦は成功したみたいだな。こんな可愛い子が一人で目をウルウルさせながら出店の前にいたら、ついつい奢っちゃうのは凄くわかる。現代日本だと事案っぽい雰囲気出るから『ダメ、絶対』だけどな。


「はあ、今回は何もなかったからいいけど、奢って貰えるからって知らない人間についてくのは止めなさい、危機感が無さすぎる。相手からしたらワカナはただの子どもなんだから」


 ミカヅキはため息まじりにワカナを叱る。

 確かにワカナ含め妹達は、パッと見は華奢で可愛いただの駆け出し冒険者なんだよな。普段からミッドガルドのガチ武装で固めていれば只者ではない事が伝わると思うが、そうすると今度は転生者であることがバレバレだし、何より悪目立ちしすぎる。かといって軽装になると、単独行動をする時にナンパやらなんやらで大変だろうし、おいおい対策を考えなければいけないな。


「アツコとサヤは仕方ないとして、ナナセはどれだけ時間かかってるの。もう日が暮れる」

「そうだよね、最終レース始まる前に戻ってくればいいのに、楽しみにしてたんだし」

「そうそう、最終レース前に………最終レース?」

「うん、人生逆転ミラクルファイナルレースとかいう奴。なんか奢ってくれたおじさんが『もうこれで勝つしかないんだよ、これで勝つしか…』って気合十分だったよ」


 いや、それ気合十分というか悲壮十分なのでは。

 というか、おじさんそれワカナに奢ってる場合か!?


 しかし、神聖なる奉納レースが終わって間もないのに敗者復活………といえば聞こえはいいが、負けた人間から更にかっぱごうというのは商魂たくましいな。

 負けた側はもちろん、勝って財布の紐が緩んだ人間ももう一勝負しそうだし、レース体系としては百点満点と言えそうだな。


 オレだって奉納レースに優勝してれば一勝負………


「行くぞ」

「どこに~?」

「ナナセの所に!!」


 オレがワカナに向かい叫ぶと、ミカヅキは既に駆けだしていた。

 全財産を失ったナナセが、罪のない髪の毛が不自由なオッサンを締め上げているところを発見したのは、それから数分後のことだった。

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