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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
王女と人狼

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最終関門

 折り返し地点を過ぎ、オレ達は最終チェックポイントに向けて戦車を進めていた。

 周囲を見渡せば何台もの戦車が視界に入るが、たまに小競り合いをする程度で積極的には攻撃を仕掛けてはこない。


「何もしてこないのが、かえって不気味ですね」


 ナナセの言葉にオレは頷く。

 戦車のなかにはグランファレ商会傘下である事を示す深紅の装飾が施されたものも数台含まれているが、お互いが干渉することを避けるように距離を取っている。


「奇傑皇の捨て台詞が効いてるんだろうな。最後の地獄とか言ってたか。もし障害物代わりにモンスターが配置されているのだとしたら、お互い潰しあったせいで戦力が足りずに共倒れってことになりかねないからな」


 仮にも宗教勢力のお偉いさんが参加者を本気で殺しにかかるような罠を用意するとは思えないが、異世界の倫理観だしなぁ………。

 日本だって昭和の頃は今と比べ物にならないほど人の命が軽いというか、死が身近にあっても気にしない風潮があったし、魔物が普通に存在する世界観だと考えるとちょっとしたアトラクション代わりに高レベル帯のモンスター待ち受けていても不思議ではない。


「そろそろ最終チェックポイントだ、気合をいれて………っておい、ありゃなんだ!?」


 サイラスの言葉を受け前方に目を向けると、旭日の師団を含めた複数の戦車が等間隔に距離をとり、一点を見つめている。

 視線の先には………白いひげと光る頭、奇傑皇が門番のようにゲートの前に立ちはだかり、何やら声をあげている。


「また厄介なことになってそうだな。とりあえず声が聞こえるところまで近づこう」


 オレ達は嫌な予感を覚えつつも、奇傑皇の声が届く範囲に戦車を進める。


「まだチャレンジャーはおらんのか!!」


 奇傑皇の怒鳴り声。

 その声に周囲の戦車はお互いに顔を見合わせ、困ったような笑みを浮かべる。


「なんで止まってるの~?」


 ワカナが近くの戦車の御者に友達感覚で話しかける。

 いや、なんか空気が弛緩しまくってるけど、一応ここにいる全員が敵だからね?相手にプラスになるような情報簡単に教えてくれるわけないからな?緊張感持とう?


「あんたらは今着いたのか。またあの髭のじいさんが面倒なことを言い出したせいで、硬直状態になってるのさ。定期的にルール説明を繰り返してるから、待ってるといい。どうせ誰も一番先には動かないからな」


 あれ、意外と素直に答えてくれた。すこし気が抜けるな。しかし、それだけ打つ手なしの状態なわけか。あの偏屈じいさんがどんな無理難題を押しつけてくるのか考えるだけで気が重いが、大人しくルール説明とやらを聞こう。


「ふむ、また何台か新顔が到着したようだな。では最終関門について説明してやるゆえ、耳の穴をかっぽじて聞くがよい。最終関門のクリア条件は単純明快。ゲートを塞ぐ扉の鍵を得る、それだけじゃ」


 鍵を取って扉を開ける、か。

 言われてみればゲートの前に突貫工事で作りましたと言わんばかりの雑な鉄製の扉が設置されているな。ゲートの見事さに比べ、それを塞ぐ鉄扉の圧倒的な低クオリティーを鑑みるに、偏屈じいさんの思いつきでお付きの部下の人達が急遽材料調達から工事まで頑張ったんだろうな………計画性はないのに無駄に行動力だけある上司とか、吐き気を催す邪悪と断定してもいい人類共通の敵といえる。

 上司の無茶ぶりに対応した部下の皆さん、本当にお疲れ様です………。


 しかし、ゲームのお使いクエストっぽい内容ではあるが、鍵をゲットして扉を開けるという内容自体はそこまで非難されるような物でもないよな。なんで誰もが二の足を踏んでいるんだ?

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