安堵と油断
「ちっが~~~~~~~~~~う!!!!不正解じゃ、通るかそんなもんっ!!!!!!!!」
「はぁ~~~!?いや、だって、わざわざ『橋』じゃなく『はし』って書いてあるのは、そういうことじゃないの!!」
「それは、たまたまじゃ、たまたまじゃ、細かい奴じゃなぁ!!もっと他に方法があるじゃろうが、戦車を魔法で浮かせゲートに触れるか触れないか爪先ほどの距離を巡ってせめぎ合う、そういった緊張感のある攻防が!!」
「イライラ棒か!!まったく『知』の要素がない!!むしろオレの解決法のほうが絶対それっぽいだろ!!」
「そうだそうだ~、いっちゃんにしては珍しく頭つかったんだからOKでいいじゃ~ん、ケチ~、ヒゲ~、ハゲ~」
「誰がハゲじゃ小娘!!これは最先端ファッションじゃ、これだから田舎者は!!!」
「でもバカ兄の言い分も一理あるでしょ。自分の想定外の解決法でクリアされたからって取り乱すんじゃ、奇傑皇の名が泣くんじゃない?それとも何、奇人変人に憧れる凡人だと、自分を上回る発想は怖くて受け入れられないってこと?」
ミカヅキ、煽りおる。
「ふんっ、まあいい、最後の地獄はこんなものじゃないぞ、貴様らが絶望に打ちひしがれ、こうべを垂れて我に懇願する姿を見るのが楽しみじゃわい!!それではサラバじゃ、フォッフォッフォッフォッフォッ」
奇傑皇はそう呪いの言葉を残し立ち去り、後にはティータイムの小道具を懸命に片づける従僕の姿だけがあった。
「これは…第二チェックポイントクリアってことでいいんだよな?」
「花火あがってるしいいんじゃない?」
「ソコ、ジャマ、トオレナイ」
「あっ、すいません、どうぞどうぞ」
あまりと言えばあまりの展開に茫然自失となっているオレ達の脇を抜け、旭日の師団が先に進む。
「しかし、なんかスッキリしないというか、クリアしたぞ!!っていう実感が湧かないな。最終チェックポイントはもっと、こうスカッとするような展開を期待したいな」
「なんか気が抜けちゃうよね~、こんな簡単だと他のチームもすぐにクリアできちゃうし」
「旭日の師団もオレ達に礼もなく先に行ったしな」
…
………
……………ん??
「なにボーっとしてるの!!早く追いかける!!」
ミカヅキの声にサイラスが反応し、即座に馬に鞭を入れる。
しまった、あまりにも普通に通ろうとしてきたため、日本人的反射で通してしまった!!いつの間にか他のチームもゲート通過し始めてるし!!
「ああもう、せっかく1位でゲート通過したのに2桁順位になったじゃない!!」
「でも、みっちゃんもボケーっとしてたよね、みんな同罪、同罪」
「そうですね、勝負は最終チェックポイント、そして競技場。ギャンブルは最後に勝てばいいんです!!」
そうだ、遅れをとったとはいっても、まだすぐに追いつける距離。
どのみち奇傑皇が用意しているというとっておきの最終関門をクリアしなければ競技場には戻れない。最後にどのような難関が待ち構えていようともオレ達の力と知恵で必ず突破してみせるぞ!!




