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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
王女と人狼

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貧乏チーム

「うわ~、すっごいね、こんなにたくさん参加するんだ」


 ワカナが競技場を埋めつくさんばかりの戦車を見て、感嘆の声をあげる。


「30チーム以上出場するそうです。全員がライバルなわけですし、あまり感心ばかりもしていられませんけど、これだけ並ぶと壮観ですね」


 ナナセの言う通り、ここにいる戦車は全員がライバルなんだよな。『その依頼かならず成功させます』とか妹達の前で大見栄をきらなきゃよかった………。


「なに緊張してるの、バカ兄。やるからには勝つ。浪費家揃いのウチのパーティーでも金貨10000枚あれば安心して冒険に専念できるでしょ。それに本当かどうか知らないけど、優勝すれば住民の生活も良くなるらしいしね」


 ミカヅキがそう言って、照れ隠しのためかオレの頭を杖でコツンと小突く。


「この雰囲気にのまれてはないみたいだな。今日はよろしく頼んだぜ」


 談笑しているオレ達を見てサイラスが声をかける。


「これだけ敵が多いと覚えるだけでも大変ですね。賭ける立場としてはオッズもばらけますし、波乱が起きやすそうで好条件ですが」


 ナナセの目が血走っている。放っておくと観客席側で検討し始めそうだな。

 しかし、参加者は全参加チームの資料を閲覧することが出来るが、記載内容はチームの所属、乗員の数と名前、車体の色と掲げる旗の模様程度であるため、この都市に来たばかりのオレらにとってはあまり有力な情報源とは言えない。


「これだけいても最終的に敵になるのは数チームだ。まずは10チーム以上出場させているグランファレ商会。奴らは味方同士の視認性をあげるためか、全チーム戦車をワインレッドの飾り布で覆ってるのが特徴だ。特に気を付ける必要があるのが、銀糸でド派手に縁取ってる敵の大将機だな。見ろよあの馬、一頭でウチの戦車ごと買える超一流の名馬だ。他の参加チームなんかはグランファレ商会から恨みを買わないよう、あの銀糸が見えたら道を開けるらしいぜ。やつの周りには常に護衛の戦車がついていて、直接攻撃を当てるのは難しいが、優勝するためには少なくともアイツに勝つ必要があることは覚えておいてくれ」


 サイラスに言われるまでもなく、大将機の荘厳なまでの美しさ、優美さは居並ぶ他の戦車のなかで群を抜いており、注目するなというほうが難しいくらいだ。


 そして大将機に乗っているのは………。


「あれ昨日のバカ連合じゃない?」


「たしか………『極楽の死体』だっけ?」


「『旭日の師団』だ!!やっぱり大将機の護衛だったのか」


「昨日と同じく6人いますね、2人は留守番なんでしょうか?」


「まさかグランファレ商会だけ何人でも乗せていいとかいうルールじゃないよな。どちらにせよ要チェックだ」


 こうして見ると参加チームのうち3分の1以上がグランファレ商会の直属なわけか………汚い手を使っているとはいっても5連覇は伊達じゃないな。


 大将機以外の戦車も豪奢な装飾品に彩られおり、ところどころ塗装が剥げ、飾り布もくすんでいる


『ザ・貧乏チーム』といった風体のウチの戦車とは天と地の違いだ。


「あの金ピカの戦車なにかな、なんか小っちゃくて弱そうだけど」


 ワカナが指さす方を見ると、白を基調とした車体に金で装飾が施された戦車…というか馬車が見える。


「あれは神王教会の偉いさんが乗る馬車らしいぜ、なんでもレースの公正を期すためついて回るんだとよ。わざわざ大神官様が祝福を授けに来たり、お偉方が視察にくるってことは、打倒グランファレ商会の機運が高まってるってことかもな。頼んだぜ、大将」


 オレはサイラスにバンバンと肩を叩かれ、曖昧な笑みで『任せてください』と返す。人の身体を触るのに躊躇しないこの陽キャノリ苦手だ…。

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