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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
王女と人狼

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負けられない戦い

「………運命は自らの意思のみで開かれるに非ず。女神は時に幸運を欲するもの。賽は投げられた、結審は己の拳にて切り開かれん」


「わかりました、ジャンケンですね、最初はグー。はい、勝ちましたぁ~、私勝ちましたぁ~。じゃあ私が進行役でいいですねぇ、普通に喋っちゃいますよぉ~」


 ココロトと呼ばれている女性が最初はグーのタイミングで平然とパーを出し勝利を収める。


「キタナイ、サスガドルイド、キタナイ」


「勝利は祈る物ではなく掴む物。掌から零れ落ちた砂は戻らず、ただ大地の大きさを知る」


「キャハッ!!ゼライアスが言うなら仕方ないよね、さっさと終わらせちゃってよ、そうしないとボクなにしちゃうか自分でもわからないよ?」


「あ、あの、改めて助けて頂きありがとうございます」


 オレは会話を仕切り直すため再度頭を下げる。


「悪は栄え、不義がこの世を飲み込まんとて、我はそれに抗うだろう。後背には常に自らの進んだ道が続くことこそ忘れるな、それが卿らの選択の最果てなのだ」


「『お前達みたいな悪者には負けないぞ』って言ってますぅ、多分ですけど」


「私達が悪者!?さっきから何言ってるの」


「心根すら見えぬ闇の中だろうと、その刻印はなお怪しい輝きに満ちる」


「『何言ってるんだ、その紋章が証拠だろ』って言ってますぅ、恐らくですけど」


 ガイエ商会の紋章のことか?

 ガイエ商会を敵視するということは彼らは………。


「平穏を穿ち、安定を崩さんとする者達よ、底知れぬ渇望は天に弓打つことと知れ。」


「『自分のやったことは自分に返ってくるんだぞ、だから人々の平和を脅かすようなことはやめなよ』って言ってますぅ、きっとですけど。」


「貴方達こそグランファレ商会の手先でしょ」


 ミカヅキが忌々し気に言う。


「答える必要があるか?考えればわかることだ」


「アタイ達『旭日の師団』を舐めて貰っちゃ困るね」


「オデ、オマエタチ、タオス」


「あー、もう、その分けわかんないキャラ付け止めなさい!!絶対口調優先で内容考えずに喋ってるでしょ、会話の内容かみ合ってないから!!」


「あのぅ、ガイエ商会が雇った冒険者さんですよね?明日の奉納レースは出場しないことをオススメしますぅ。こう見えても私達『旭日の師団』はオリハルコン級冒険者のみで構成されたパーティーで、6人なら『竜燐の騎士』すら上回るケルキヤ王国最強だっていう噂が、聞こえ始める可能性がないとは言えないとご近所で評判になるくらいの強さなんですぅ。マンティコアも倒せないような銅等級の冒険者が相手になるようなレベルじゃないんですよぉ。一つしかない命です、正義のためならともかく、お金のために危険に身をさらすのは愚かなことですからぁ」


「その言葉そっくりそのまま返す。私達は負けない、グランファレ商会を倒してシュトライトヴァーゲンブルグを救ってみせる。覚悟してなさい」


「はんっ、口の減らねぇ、嬢ちゃんだ。力の差に絶望して、泣きださないよう、気を付けるんだな」


「キャハッ!!見えるよ、ぼろきれみたいに這いつくばって惨めに哀願する、キミたちの姿が」


「アタイが弓を構えたら伏せな、負けを認めた相手を打つほど野暮じゃない」


「オデ、モウ、イウコト、オモイツカナイ」


 ………


 ………………


 ………………………


「あっ、じゃあ、明日はよろしくお願いします、お疲れさまでした」


 沈黙に耐えきれず、オレが思わずザ・日本人な言葉を口にし、頭をぺこりと下げると、敵味方双方が凄い顔をした。


 あれ、オレまたなんかやっちゃいましたか??


 心の中で呟かれたオレの問いかけは、誰に届くこともなく大平原の風となった。

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