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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
王女と人狼

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嫌な予感

「兄さん、心配事は尽きませんが、始まる前からあまり気を張っていては本番で力を出せません。下見も終わりましたし、今日は美味しい物を食べてゆっくり休みましょう」


「美味しい物っていっても恒例の豆スープでしょ?」


「正解。エルベスで買ったチーズと肉の塩漬け、黒パンも少しあります。焚火であぶって食べましょう」


 開けた場所でナナセが火遁で火を起こし、オレ達は薪をくべる。


 パチパチと生木が爆ぜ、わずかに白い煙があがり、その香りが郷愁をさそう。

 すっかり日が落ち辺りは暗くなっているが、焚火のおかげでお互いの顔が視認できるほどの明るさは確保できた。


 なんか焚火っていいな。

 オレは特別田舎育ちというわけでもないが、小さい頃はまだ野焼きが禁止されておらず、家のまえの畑で祖父が落ち葉を集めて焼き芋をしてくれたんだよな。


 まあ、昔の男の手料理という感じで、芋を雑にアルミホイルに包んで燃え盛る炎の中に投げ込んだだけだから、生焼けだったり黒焦げだったりしたけど、それがガチャみたいで楽しかった。


 うーん、そう思い返すとオレのガチャ好きは祖父の影響が大きいとも言えそうだな。あの100億円ガチャで『神喰い』を引き当てることが出来たのも祖父のおかげと考えると、アツコや他の妹達は祖父にとって曾孫みたいなものなのかもしれない。


「いっちゃん、出来たよ~」


 焚火にあたりながらボーっとしていると、ワカナが豆スープの入った器とスプーンを手渡してくれた。僅かな月の光と焚火の揺らめきを受け、器は鈍く光り輝く。


「いつもより美味しい気がするな………わかった、香辛料増やしただろ。黒胡椒の風味が段違いだ」


 オレはスープを飲み、感想を口にする。口の中がひりつくほど熱いスープのおかげで、夜風に冷えた身体がほぐれていくのがわかる。

 ミッドガルドでは食事はバフをかけるための物だったこともあり、料理のためのスキルが多く設定されていた。金を払えば町で食事をすることも出来るが、素材を集めて謎料理を開発し、レシピを埋めていく作業も結構楽しいんだよな。そういうやり込み要素が豊富なのも、ミッドガルドが人気だった要因だろう。


 ちなみに、ウチのパーティーで料理スキルを持っているのは狩人のクラスを有しているナナセと、キャラ付けのため課金アイテムで付与したオレだけだ。ファミレスチェーンの店長として、料理スキルくらい持ってないとカッコが付かないからな。

 恐らくそのスキルのおかげで今も味付けの違いに気づいたんだろうし、数万円の課金は無駄ではなかったと言えるだろう。うん、多分無駄じゃなかった、きっと。


「特に味付けは変えてないですけど………でも兄さんの言うように、私も普段より味わいに広がりがあるというか、美味しくなってる気がします」


 うん、そう、そういうことが言いたかった、まあ黒胡椒とか言ったのはあくまで例えだからな、例え、それだけ風味が豊かになってるって例え。


「確かにそうね。悪くないわ」


「何が違うかはわからないけど、違う気がするかも」


 ナナセの言葉にアツコとサヤも続く。そう、風味豊か、間違いない。


「ワカナ、この器とスプーンどこから持ってきたの?スープがこれだけ熱いのに指には一切熱が伝わらないし、スプーンの持ち手もちょうど人肌位に温まってて妙な感じがするんだけど」


 ミカヅキが器とスプーンを持ち上げ、様々な角度から観察する。言われてみればそうだな。高断熱なのに、どこを触ってもほのかに温かい。よくよく見ると磨き上げられた鏡面のようにピカピカだし、相当高価な食器なような………まさか!!

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