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いもうと無双は異世界転生と共に〜38才こどおじの異世界英雄譚〜  作者: 蒼い月
王女と人狼

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成功報酬

「助けて頂きありがとうございます」


「どういたしまして。あまり動きなれていないようですし、普段から着ぐるみで行動しているわけではないんですね」


「もちろんです。なんならアタシは今でも反対してますから、着ぐるみ。会長のアイデアなので、すべて」


 ウマがそう言い、クマは恥ずかしそうにうつむく。

 どうやらクマが会長、ウマは秘書的なポジションなようだな。声色からすると二人とも妹達と変わらない年頃に思える。


 様々な種族で溢れかえった異世界ということもあり、声ひとつで年齢や経験を推測するのは乱暴かもしれないが、正体を明かせないからといって着ぐるみを選ぶような二人が大人であるとは考えにくい。


 となると、前会長の身になにかあり、急遽娘が跡を継いだといった所だろうか?素顔を明かせない理由は前会長がグランファレ商会の手によって殺されたとか?まあ全て想像の域を出ないな。


 オレ達は今回の依頼を受けるのに必要な等級に達していないため、この依頼を受ける場合は冒険者ギルドを通した正式な契約ではなく、あくまで個人間で結ばれた私的な契約となる。


 この辺りの構造は、すこし前に問題になった『闇営業』に似ているかもしれない。


 一度ギルドに申し込まれた依頼を、ギルドを通さず冒険者が受ける………明らかにマズそうだが、ペナルティーとかはあるんだろうか。

 ………普通に考えるとあるよな、冒険者ギルドの入るはずだった仲介料を横取りするみたいなものだし。今後の冒険者ギルドとの関係を考えると、相当に微妙な案件といえそうだ。


 さきほどのやり取りを見る限り依頼主は悪人では無さそうだが、正直なところ信頼性は限りなく低いし、ナナセには申し訳ないが話を聞きつつ適当なところで断ったほうが良いのかもしれない。


「おほんっ、改めて、遠路はるばる我がガイエ商会に来訪いただき感謝する。私が会長のローゼだ」


「アタシは会長秘書を務めるアロナと申します。以後お見知りおきを。あと、ローゼ様、やっぱりその口調やめたほうが良いと思いますよ、胡散臭さが倍増するだけなので」


「ク…アロナがいつもの喋り方だと舐められるって言ったんじゃない!!…お見苦しいところをお見せしてすみません」


 オレも反射的に頭をさげる…着ぐるみのせいでモゾモゾとした動きしかわからないものの、恐らく頭を下げているだろう会長に『気にしないでください』と努めて温和な調子でいうと、軽くそれぞれの自己紹介をすませ本題にはいる。


「今回の依頼の概要については、サイラスから話した通りです。建国祭の奉納レースにサイラスとともに出場し、優勝すること。それが依頼内容となります」


「依頼料は?」


 ミカヅキのぶしつけな質問。

 極めて平均的な日本人的感覚を持ち合わせるオレにとっては、相手の話をぶったぎって金銭面の話をすることはかなり失礼な感じがするというか、隣で話を聞いているだけで胃がキュッとなってしまうのだが、時には命を賭けてクエストに臨む冒険者としては当然の態度なのかもしれない。


「金貨4000枚でいかがでしょうか」


「金貨4000枚!?」


 日本円にして4億円。目もくらむような大金だ。


「ただし、それは成功報酬としてです」


「優勝できなかったら?」


「タダ働きとなりますね」


 オレは心のなかでずっこける。全額成功報酬で着手金ゼロとか、報酬なしと言われているのに等しい。

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