発情エルフ
「アツコ姉さんが話したような種族がこの世界に存在するかはわからないけど、英雄色を好むともいうし、兄さんがハニートラップに引っかからないかは少し心配かも」
「バカ兄にハニートラップ!?ないない、あり得ない。そんなメリットがなさそうなこと、やる人間がいるわけないでしょ」
「でも、強い男の人が好きな女の人って結構多い気がするな~。お兄ちゃんは戦士職じゃないから、分かりやすい強さじゃないけど、それでもこの世界の人間相手なら素手でも負けることないよね。そうなると
『キャー、強くてカッコいいー、抱いてー』って感じで、惚れちゃう女の人もいるんじゃないかな」
「バカ兄に?ないでしょ、ないから。あんな腑抜けたウーパールーパーみたいな顔した男を好きになる物好きがいたら、逆に見てみたいから、会ってみたいから」
「そうかなぁ、お兄ちゃん穏やかな性格が伝わる顔立ちしてるし、強さとのギャップもあって意外とモテると思うけどなぁ。それともお兄ちゃんがモテると困ることでもあるの~?」
「あるわけないでしょ!!でも、モテないの、バカ兄は。絶対」
「いっちゃんカッコいいわけじゃないけど、変な顔してるわけじゃないからモテるかもよ?優しいし、ちょっと抜けてて安心感あるし、意外にもう誰に狙われてたりして」
「悪い虫がつかないよう手は回してあるけど、それでも兄様が性欲に負けてこちらの世界の女と関係を持つ可能性はあるわ。そうなれば性病、刑罰、信用の失墜、ハニートラップとデメリットはマンボウの卵の数のように無限大よ。最悪兄様が女にたぶらかされて、私達と別れて冒険を辞めると言い出す可能性だってあるわ。ミカヅキはそれでもいいの?」
「それは良くないけど………心配しすぎでしょ。もっとバカ兄のこと信頼してあげなさいよ」
「信頼も尊敬もしてるわ。だけどそれでも男性は抗えないのよ、性欲に。命を賭してでも胸を触りたくなる、それが性欲なの」
「質問!!」
「ワカナちゃん、どうしたの?」
「もしさ、もし仮にいっちゃんの……性欲の処理をする場合、皆で一緒にやるの?6人でワチャワチャって感じで」
「そんなわけないでしょ!!複数でとか、ど変態じゃない!!」
「だって、ワカナそういうことしたことないからわかんないんだもん。普通は1対1でやるの?みーちゃんも1対1派なの?」
「そりゃ………そういうことは愛する人と二人だけでやるものでしょ」
「え、なに?ミカヅキちゃん声が小さくて聞こえないんだけど~。経験豊富なんでしょ~、お子ちゃまなワカナに手取り足取り詳しく教えてあげてよ~」
「経験豊富とは言ってない!!っていうか、サヤはリリムなんだから貴方が教えなさい、得意分野でしょ」
「はい、リリム差別禁止~。私みたいな清らかなリリムだっているんだよ。エッチな話になるとすぐ顔真っ赤にして興奮しだす発情エルフのほうが、よっぽど得意分野だと思うけどなぁ~」
「誰が発情エルフよ!!」




